それからいろいろと話をしていたけれど、アキラとアカネに葵が呼ばれたので、少しだけ席を外した。
「あきクン、ちょっとだけおれが先にあおいチャンと話してもいい?」
「わかった。部屋の前にいるよ」
葵たちは、会議室へと移動した。
「流石アカネくん。わかっちゃったよね~」
「あおいチャン――」
アカネは葵の襟を取って、足を払う。
「……!? アカネくん?!」
そのあと押さえ込みを掛け、至近距離で話をする。
「……あおいチャン、こんなに弱くなかったはずなのに」
「い、いきなりだったから何も対処できなかったんだし」
「嘘。わざと掛けられたでしょ。……何? 罪悪感?」
「久し振りに技かけられてもいいかなって思っただけだし……ていうか、近い!」
「わかった。そういうことにしておいてあげるから、このまま聞いて」
「し、心臓もたないって~……」
「あ。久し振りに赤いね。可愛い」
「……!! や、やめてくれっ……」
「はいはい。それじゃあ、あきクンも後に控えてるから直球で聞くけど」
アカネは葵の耳元に顔を寄せ、小さな声で囁く。
「かおるって奴でしょ。体育祭の時、あおいチャンを変にしたの」
低い声に、葵の体がビクッと反応する。
「あいクン? は、さっき知らなかったってあおいチャン言ってたけど、かおるって奴は、体育祭の時からあおいチャンのこと、知ってたんじゃないの」
「……アカネくんは、名探偵になれるね」
「おれは真面目に聞いてるんだ。……それからあいつは、ミスコンにも出ろって言ってきたよね。申し訳ないけど、そんな奴と一緒にあおいチャンが住むなんて嫌だ。おれのとこ来てよ」
「……みんなそれ言うね」
「あいつにいい印象はない。あおいチャンもでしょ? 金曜日もすごい嫌な笑み浮かべてたし。危ない気がするんだ」
「でもね、カオルくん悪い人じゃないんだよ?」
「何言ってるの。何されたか詳しくは知らないけど、嫌なことされたんでしょ」
「……でも、彼もいろいろ考えてることがあるんだって。『体育祭と文化祭の時は、いじめ過ぎちゃってごめんなさ~い』って、謝ってもらったよ?」
「……それ、謝ってないと思うんだけど」
「わたしはいいよって言ったからいいの。それに、彼もアイくんの付き人さんだから、わたしの家族でもあるし。ちゃんと仲良くなりたいんだ」
葵の手が、アカネの頭にまわり、やさしく撫でてくる。
「心配してくれてありがとう、アカネくん」
「……っ、あおい、チャン」
「でもやっぱりわたしにとって一番はみんなのことだからね? みんながわたしにとっての家族で、帰ってくる場所だ」
「……うん。待ってる、から」
アカネも、ぎゅっと葵を抱き締める。
「ありがとう。絶対帰ってくる。……アカネくん? わたしに踏み込んでくれて、ありがとう」
「……あおい、チャン……?」
「冷たいの、絶対治すからね? 運命だって変えてやるから。……わたしのこと。好きになってくれて、ありがと」
「っ、あおいチャン! そんなの、……お別れじゃないんでしょ!?」
「もちろん! わたしは諦めないよ! 最後まで! 絶対に帰ってくるからね! でも、帰ってきた時みんながいなかったら言えないから、今言っておきたかったんだ」



