「…………てな感じだよ? 間違ってないよね? レンくん」
「はい。強いて言うなら、カオルの家の製薬会社は、道明寺と手を組んでいるといったところでしょうか。だからカオルは、友達だったアイさんの付き人になって、将来ともに道明寺を支えていく人間になりました」
「ひょんなことって……」と、ツバサがそう漏らす。
「その、薫って奴も、お前と同様自分の家のためにそうしてるのか」
「否定はしません。前も言った通り、私は嫌であおいさんに付いてるわけではありません。もちろんカオルもです。きちんと自分たちが納得した上で、私たちは付き人をしています」
「そっかー。みんなにいろいろ家の事情とかあるのはわかったし、それを掘り下げて無理に聞こうとは思わないよー?」
「ありがとうございます、東條さん」
「いえいえー。それはいいんだけどー、……アオイちゃん。いつ知った?」
「え? 何が?」
「いやだってさ、アイくんは文化祭の時アオイちゃんに告白してきたんでしょ?」
「……え。そんなことがあったんですか?」
「実はそうなんだよ月雪くん! アイくんは、ミスターコンの優勝者っていうのは知ってた?」
「あ。はい。私も、見には行っていたので」
「そのあとバンドし終わって彼ね、アオイちゃんに告白しに来たんだよ!」
「……そうなんですか」
「でもアオイちゃん、彼とは初めて会ったんだよね? 文化祭で」
「……? うん。そうだね?」
「なんで? 道明寺の家で、みんなで暮らしてるんじゃないの? それなのにアオイちゃんは何でお父さんたちに実の息子がいるとか、知らなかったの?」
「ああそういうことか。わたしがいる屋敷に家の人は誰もいないんだよ」
「え?」
「お父様たちに子供がいるのは知ってたんだけど、アイくんとは知らなかったの。わたしは別邸で暮らしてるからね。あ、でも家政婦さんとか、執事……は今はいないけど、レンくんは時々ね? 今一緒にお屋敷に住んでるよ」
「アオイちゃん……」
「知ったのはね、実は本当につい最近なの! わたしもビックリ!! でも、実はアイくんも知らなかったみたいで、お互い会ってビックリだよね~!」
「そ、そうなんだ……」
「いやいやカナデくん、言ったでしょう? ここがわたしの家でありみんなが家族なんだって。だから気にしないで? この休みは、彼らがいる本邸に住むんだから」
「……うん。アオイちゃん、いつでも俺の家泊まりにおいでね」
「いやだし。カナデくん一人暮らし。危険。危ない」
「そんなことないのにぃ~。俺が手取り足取り腰取り――」
「だからもう、寂しくないんだ~」
「そんなこと言われたら被せてきたこと突っ込めないじゃん……」
しょんぼりしてしまったカナデに、クスッと笑みがこぼれる。
「でもよう、家に駒扱いされてんだろ? ……そんなとこに、オレは帰したくない」
「チカくん……」
「寂しいならオレんとこ来いよ。ばばあと二人だけだから、お前が来てくれたら嬉しい」
「ありがとうそう言ってくれて。でもわたし、頑張りたいんだ」
「は? それ以上何を頑張んだよ」
「……本当の家族に。してもらいたくって」
「アオイ……」
「家のためにはこれからも頑張っていきたいよ? お金目的で引き取られたのは確かだけど、それでも家族にやっぱりなりたいんだ。……わたしの、今の家はあそこだから」
「……お前は、金じゃねえ」
「うん。それもちゃんとわたしはわかってるよ? この療養中は、何とかわたしのこと駒じゃなくて本当の家族だって思ってもらえるように頑張りたいの! 体調のこと、気にしてくれてるんだもん! ちょっとはその気、ありそうじゃない?」
にかって、チカゼお得意の笑顔でそう言うと、彼もぎこちないが返してくれる。
「無理はすんな。つらくなったら連絡しろ。オレが仕事押しつけて駆けつけてやっから」
「仕事はしてください」
「それぐらい本気だからっつうことだ」
「ははっ。頼もし~!」
にっこり嬉しそうに笑っている葵を見て、チカゼも嬉しくなった。



