「いや。つばさくん。別に、ペンが折れたらできるってわけではないと思…………っ。はははっ」
葵は涙目になりながら、腹を抱えて笑っている。ツバサはというと、今のどこに面白い要素があったのかわからなかったが、目の前で泣いて、笑っている彼女がいることを信じられない様子で目を見開いていた。仮面が外れている葵を見て、みんなも驚いているようだ。
「……あおいさん」
「あははっ。……ごめんなさい、れんくん。でも、この一週間は無理ですね。……ははっ」
レンは咎めるように声を掛けるが。
「いやーごめんごめん! あまりにもツバサくんが変なこと言うからさ、もう着けてるのが馬鹿らしくなっちゃった!」
葵は仮面を外したまま、にっこりと笑っていた。
「まあそういうことなので! 頑張って早く帰ってくるからね! この一週間ここでは仮面を外しますので! よろしくレンくん!」
「何が、『よろしく』なんですか」
「内緒にしててってことだよ~ん」
「はあ。……絶対バレます。私がお仕置き食らうんですけど」
「その時はわたしも一緒だ! 喜べ!」
「いりません。一人の方が気が楽です」
「なんでー!?!?」
すっかり元の様子の葵と少し雰囲気の違うレンに、みんなは目を白黒させている。
「いやだってさー? いつ帰ってこられるかわかんないし、最後まで仮面着けてるの嫌だったんだもんっ」
「上目遣いで何でも許されると思ったら大間違いですよ」
「ありゃま。作戦失敗のようである、どうぞ」
「誰に『どうぞ』言ってるんですか、相手がいないでしょ」
「はい、こちらヒナタです、どうぞ」
「まあそれはさておいて! ……この間はごめんね? ビックリしたよね?」
「はあ。……外しても九じょ――バキバキバキッ!! 「だから、どうやったらそんな力出んだよ……」……お前はスルーされるみたいだ。残念だったな」
「差別を感じるー」
スケジュールを書くのを中止して、葵はソファーにゆっくり座った。
「アキラくん、これって今週までに出来てたら大丈夫?」
「……ああ。渡すのはGWに入る前だからな。十分だ」
「ギリギリに渡すんだよねー」
「だったらゆっくり作っても大丈夫かな? 今週まで!」
「いいんじゃね? 修正があったらオレらでしておくし」
「うんうん! あーちゃん! いっぱいお話しよーよ!」
「うん! ラストウィークだからね! みんなとたくさん話したいっ!」
「じゃあオレとも話してー」
「あ! アカネくん? 気になってることあるんでしょ? あとで話そ?」
「あ、う、うん。まあそうだけど……」
アカネは正直、自分と話さなくてもいいと思うくらいには、ヒナタに構ってあげて欲しい思った。



