すべてはあの花のために⑦


 葵が出て行った会議室では、各々いろんな表情を浮かべていた。でも恐らく、根本的に思っていることは同じ。


「(……シン兄。『バレてる』って、もしかしてあいつらに……?)」


 アキラは、帰ってこのことをシントに報告し、彼から情報を得ることにした。


「(道明寺って言ってた。でも、そんなのアオイちゃん言ってなかった。……それにあいつのこと、初めて会ったのにって、文化祭の時言ってたらしいし)」


 カナデは、彼らのことをその時までは知らなかったんじゃないかと、そう思った。


「(……絶対なんか隠してる。お前の口からじゃないと、俺は信じない。……聞き出してみせるよ、必ず)」


 ただ一人、葵だけを信じているツバサは、今日のことを聞き出す気満々だ。


「(言えない? 言いたくない? ……そんなんもう関係ねえ。オレがどうなったって構うもんかよ。お前が助けられるんなら、オレはそこに乗り込んでやるよ)」


 さっきまで葵の腕を握っていた手の平に、チカゼはぐっと力を込める。


「(……あっちゃん。何で今の人たち何もかも知ってるふうだったの……。それにまた、つらそうだった。苦しそうだったよ……)」


 葵の感情を感じ取っていたキサは、彼らとはまた、きちんと改めて話をしようと決心する。


「(……あいつら嫌い。あーちゃんしんどそうだったし、何より……なんで、バカにしたような感じで笑うの)」


 何も知らない自分たちをそんなふうに見てきてた彼らに、オウリはもう交流なんて深めたくなかった。


「(あおいチャン……)」


 出て行った扉を、アカネは見つめている。


「(……ごめんけどおれ、めっちゃくちゃキレそうだからね)」


 握った拳を開くと、少し手の平が血で滲んでいた。


「(体育祭で会った奴。あおいチャンを変にした奴。……絶対、許さないから)」


 パシッと、胸の前で拳を受け止める。


「(ついでに言うと、そんな奴といるあおいチャンも一回ぶん投げるから。悪いけど、体調なんか知ったこっちゃないよ)」


 それだけ腹が立ってる。彼らにも、葵にも……自分自身にも。


「(もう、おれは踏み込むしか、ないんだから――)」


 アカネは体を回転させ、みんなの方を振り返った。