「それじゃあ、今回は春の交流会だったということで、次は夏ですかあ?」
「……そう、ですね。そのぐらいの時期に、またすることにしましょう」
これは仕事だと。生徒会長としてアキラは必死に今後の予定を決めていく。
「あ。でも、あおいさんは、その時期はもう……」
アイの言葉に、またみんなが反応する。
「……わたしはまだ、諦めてはいないので」
葵が放った言葉は、とても小さかった。
でも彼を…………彼らを睨むような視線は、どこか強い意志で溢れている。
「ふ~ん。あなたは、家の命令に背くんですかあ」
「どう思われようと、わたしは家の指示には従います。……それが、わたしの『考え』だから」
「ま、今日はもうお開きにしましょう? まだおられれば、あおいさんもしっかり交流会しましょうね?」
葵は返事をしなかった。ただ、握った拳が震えていただけ。
「それじゃあ、あおいさん、帰りましょうか」
「……はい」
そう言ってアイ、カオルに続き、レンと葵も会議室から出て行こうとする。
「っ、あーちゃん?!」
「あ、オウリくん。また月曜日に会いましょう」
「そういうことじゃないよアオイちゃん!」
「……すみません。今日は、彼らと一緒に帰ってくるように言われているので」
「あっちゃん。あたしたちパニックで、交流会どころじゃなかったんだけど……」
「すみませんキサちゃん。話が脱線しすぎでしたね。彼らも、もうこんなことはないと思いますので」
「違うよあおいチャン! おれらは、あおいチャンの口から聞きたくて」
「ごめんなさいアカネくん。これは、言えないことなんです」
「……言いたくないことじゃないの」
「なので、これについてはきちんとお話しできるかわからないんですけど、彼らが言ったことなら、もう一度お話しできるので」
相変わらず、ヒナタのスルーは健在みたいだが。
「……アオイ」
「……すみません、チカくん」
チカゼが、葵の腕を放さない。
「なんでなんだ。なんで、オレらに言ってくれねえんだよ」
「……わかって、ください」
「っ、あおいっ」
「わたしが言えないことは家のこと。……言ってしまえばもう。大事なみんなを、巻き込んでしまいます」
「そんなん関係ねえよ」
「みんなはそう思ってくれてるって、わたしもそう思ってます。……でも、わたしが嫌なんです。大切なんです、みんなが」
葵はそっとチカゼの手に触れ、腕を解放してもらう。
「……わかった。今日じゃなくていい」
「ツバサくん……」
扉の向こうで、三人が待っている。
「だから月曜日、ちゃんと話してくれ。お前が、話せるところまで」
「……話せるところまで、ですか」
「言えないか?」
「わたしは、今回彼らが言ったことも話せないんですが。それでも、ちゃんと話します。頑張りますね?」
申し訳なさそうに葵が言うと、ツバサも苦しそうな顔になる。
「葵。月曜日、何時でもいい。俺らは待ってるから、ちゃんと、ここに来てくれ。お前のこと、教えてくれ」
アキラがそう言うと、葵は扉に手を掛ける。
「……また、上手く言えないかもしれません」
「それでもいい。俺はお前を理解してやる」
葵は扉を開け、部屋にいるみんなを振り返る。
「……はい。それでは、また月曜日に」
そう言って、葵は部屋を出て帰って行った。



