すべてはあの花のために⑦


 そうこうしていると、向こうがやってきたみたいだ。


「どうぞ、こちらです」

「は~い。どぉもぉ」

「「(ん? この声、どっかで……)」」


 チカゼとツバサは首を傾げる。


「妙な提案をして、皆さん乗り気じゃなかったりは……」

「大丈夫ですよアイくん。みんなも楽しみに待っていたんですから」


 生徒会室の扉から現れたのは――。


「あ! みなさんどうも。お久し振りです」

「どうもぉーはじめまして。百合ヶ丘の生徒会副会長をしていますぅ~。(かおる)と申しますう」

「それじゃあ、俺も自己紹介。俺は百合ヶ丘の生徒会長をしてます、(あおい)と言います。でも、あおいさんがおられるので、俺のことはぜひアイと呼んでください」


 みんなして顔を合わせた。こんなところで、再び再会することがあるのかと。どこか違和感のようなものを感じながら。


 ――――――…………
 ――――……


「以上が桜の校風になります。桜の生徒は、理事長がとても元気で明るくお茶目な方なので、結構ノリのいい人が多いですね」


 会議室に移動して交流会は始まった。みんなで意見を交換し、桜のプレゼンを代表してレンが説明していく。


「桜はすごいですね! そんな特典がSクラスの方たちには付いているんですか~」

「生徒会の皆さんはその、トップといったところですかぁー?」

「そうですねー。生徒会は生徒たちが投票で選ぶんですー」

「成績や家柄、得票数を踏まえ、理事長が役職を選ばれた生徒に振り分ける形で決まります」


 百合側の質問にカナデ、アキラが速やかに答える。


「ありがとうございました! すごくわかりやすかったです。百合の方にもちょっと取り入れてみたいことがあったねカオル?」

「そうですねえ。百合でも活用するなら、少し変換すべき点もありますけど。……いいところですね桜は」


 そう言ってもらえて、生徒会メンバーは嬉しそうに頬が緩む。大好きな学校だ。褒められて嬉しくないわけない。


「でもやっぱり、桜と言えばジンクスが多いことで有名ですよねえ~?」


 カオルの言葉にメンズの眉毛がピクッと上がる。


「そうですね。挙げ始めたらキリがありませんが、そんなジンクスがたくさん生まれるほど、夢みる生徒が多く、そして素直でやさしい生徒が多いのだとわたしは思います」


 葵の言葉に、みんなも同じことを思ったのかうんうんと頷く。


「あ、あの。あれ、ですよね……? コンテストの、優勝者のも……」


 照れながらそんなことを言う彼に、今度はみんなの空気が悪くなる。


「そうですね。……先日は巻き込んでしまって申し訳ありませんでした」

「いえいえ……! 寧ろちょっと嬉しかったですし……」


 また空気が悪くなった。


「でも、そんな生徒たちがいっぱいいて、すっごくあったかい学校なんですねえ~」

「そう言っていただけて光栄です」


 カオルにツバサが返事をするが、どこかトゲトゲしさをその言葉に感じる。


「でもでも~、うちも負けてないですよお~?」


 そう言って、カオルが百合の特色をプレゼンする。