そうこうしていると、向こうがやってきたみたいだ。
「どうぞ、こちらです」
「は~い。どぉもぉ」
「「(ん? この声、どっかで……)」」
チカゼとツバサは首を傾げる。
「妙な提案をして、皆さん乗り気じゃなかったりは……」
「大丈夫ですよアイくん。みんなも楽しみに待っていたんですから」
生徒会室の扉から現れたのは――。
「あ! みなさんどうも。お久し振りです」
「どうもぉーはじめまして。百合ヶ丘の生徒会副会長をしていますぅ~。薫と申しますう」
「それじゃあ、俺も自己紹介。俺は百合ヶ丘の生徒会長をしてます、藍と言います。でも、あおいさんがおられるので、俺のことはぜひアイと呼んでください」
みんなして顔を合わせた。こんなところで、再び再会することがあるのかと。どこか違和感のようなものを感じながら。
――――――…………
――――……
「以上が桜の校風になります。桜の生徒は、理事長がとても元気で明るくお茶目な方なので、結構ノリのいい人が多いですね」
会議室に移動して交流会は始まった。みんなで意見を交換し、桜のプレゼンを代表してレンが説明していく。
「桜はすごいですね! そんな特典がSクラスの方たちには付いているんですか~」
「生徒会の皆さんはその、トップといったところですかぁー?」
「そうですねー。生徒会は生徒たちが投票で選ぶんですー」
「成績や家柄、得票数を踏まえ、理事長が役職を選ばれた生徒に振り分ける形で決まります」
百合側の質問にカナデ、アキラが速やかに答える。
「ありがとうございました! すごくわかりやすかったです。百合の方にもちょっと取り入れてみたいことがあったねカオル?」
「そうですねえ。百合でも活用するなら、少し変換すべき点もありますけど。……いいところですね桜は」
そう言ってもらえて、生徒会メンバーは嬉しそうに頬が緩む。大好きな学校だ。褒められて嬉しくないわけない。
「でもやっぱり、桜と言えばジンクスが多いことで有名ですよねえ~?」
カオルの言葉にメンズの眉毛がピクッと上がる。
「そうですね。挙げ始めたらキリがありませんが、そんなジンクスがたくさん生まれるほど、夢みる生徒が多く、そして素直でやさしい生徒が多いのだとわたしは思います」
葵の言葉に、みんなも同じことを思ったのかうんうんと頷く。
「あ、あの。あれ、ですよね……? コンテストの、優勝者のも……」
照れながらそんなことを言う彼に、今度はみんなの空気が悪くなる。
「そうですね。……先日は巻き込んでしまって申し訳ありませんでした」
「いえいえ……! 寧ろちょっと嬉しかったですし……」
また空気が悪くなった。
「でも、そんな生徒たちがいっぱいいて、すっごくあったかい学校なんですねえ~」
「そう言っていただけて光栄です」
カオルにツバサが返事をするが、どこかトゲトゲしさをその言葉に感じる。
「でもでも~、うちも負けてないですよお~?」
そう言って、カオルが百合の特色をプレゼンする。



