すべてはあの花のために⑦


 流石に限界になったチカゼがヒナタを止めた。


「何チカ」

「……もう、やめて。くれ……」

「なんで? オレちゃんと仕事してるよ? ほら」


 ヒナタが見せてきたのは、正の字で書かれている紙。よく見ると【会話をスルーされたした数】と書かれていた。


「いやそれ仕事じゃねえし。見てて悲しくなるからやめてくれ。な?」

「え。いやだし。オレこいつと話したいもん」

「どうしたんだ、九じょ――バキッ! 「あ、ごめん。カナデくん。また折れちゃったみたいなんですけどー」……何であおいさんにそんなに構うんだ」

「え? だって構って欲しいんだもん」

「だもんって。……ひーく――バキバキ! 「アオイちゃん! もう貸さない!」「ごめんなさーい。もう一回だけ、貸してくださーい」……あーちゃんとさ、何があったの?」

「え? 別に?」

「いや、明かおかしいだろ。お披露目式の後何があったんだよ」

「だから、別に何もなかったよ。ただあいつ強情で、みんなに任された仕事できなくてごめん」

「いや、十分元気そうだからもう大丈夫だよ? ひなク――バッキバキ! 「葵……。俺のが……」……いや、明か君もだけど、あおいチャンの方がおかしいでしょ。今日だけで、たくさんの命が犠牲になったよ?」

「そんなのオレに言われても。あいつが勝手にオレ無視するんだもん。下僕のくせに、いい度胸してるよね」


 ヒナタはそう言うけれど、やっぱりどこか寂しそうに影が差している。


「(ぐすん)……俺のペン。いっぱい。折れた……」

「(ぐすん)……俺も。折られた。カナのせい」

「(ぐすん)……違うよ。アオイちゃんが悪いんだもん」

「(ぐすん)それはもうどうでもいいが、どうしたんだひ、……お前」


 今貸しているのは、どうやらアキラのものらしい。


「だから、オレも知らないよ。聞くならあいつに聞けば?」

「それが聞けない状況だから、お前に聞いてるんだ」

「オレだって知らないもん。退けてよ。またあいつと話するんだから」

「話って。あんたあっちゃんと一つも話できてないでしょうに」


 立ち上がろうとしたヒナタを、お姉ちゃんが止めました。


「こんな人、姉にした覚えはないんだけど」

「はあ。……何があったか、お姉ちゃんに言ってみな? ほらみんな、散った散った~」


 みんなは後ろ髪を引かれる思いだったけど、お姉ちゃんに任せることにして、自分のプランを考えに戻ったのだった。