流石に限界になったチカゼがヒナタを止めた。
「何チカ」
「……もう、やめて。くれ……」
「なんで? オレちゃんと仕事してるよ? ほら」
ヒナタが見せてきたのは、正の字で書かれている紙。よく見ると【会話をスルーされたした数】と書かれていた。
「いやそれ仕事じゃねえし。見てて悲しくなるからやめてくれ。な?」
「え。いやだし。オレこいつと話したいもん」
「どうしたんだ、九じょ――バキッ! 「あ、ごめん。カナデくん。また折れちゃったみたいなんですけどー」……何であおいさんにそんなに構うんだ」
「え? だって構って欲しいんだもん」
「だもんって。……ひーく――バキバキ! 「アオイちゃん! もう貸さない!」「ごめんなさーい。もう一回だけ、貸してくださーい」……あーちゃんとさ、何があったの?」
「え? 別に?」
「いや、明かおかしいだろ。お披露目式の後何があったんだよ」
「だから、別に何もなかったよ。ただあいつ強情で、みんなに任された仕事できなくてごめん」
「いや、十分元気そうだからもう大丈夫だよ? ひなク――バッキバキ! 「葵……。俺のが……」……いや、明か君もだけど、あおいチャンの方がおかしいでしょ。今日だけで、たくさんの命が犠牲になったよ?」
「そんなのオレに言われても。あいつが勝手にオレ無視するんだもん。下僕のくせに、いい度胸してるよね」
ヒナタはそう言うけれど、やっぱりどこか寂しそうに影が差している。
「(ぐすん)……俺のペン。いっぱい。折れた……」
「(ぐすん)……俺も。折られた。カナのせい」
「(ぐすん)……違うよ。アオイちゃんが悪いんだもん」
「(ぐすん)それはもうどうでもいいが、どうしたんだひ、……お前」
今貸しているのは、どうやらアキラのものらしい。
「だから、オレも知らないよ。聞くならあいつに聞けば?」
「それが聞けない状況だから、お前に聞いてるんだ」
「オレだって知らないもん。退けてよ。またあいつと話するんだから」
「話って。あんたあっちゃんと一つも話できてないでしょうに」
立ち上がろうとしたヒナタを、お姉ちゃんが止めました。
「こんな人、姉にした覚えはないんだけど」
「はあ。……何があったか、お姉ちゃんに言ってみな? ほらみんな、散った散った~」
みんなは後ろ髪を引かれる思いだったけど、お姉ちゃんに任せることにして、自分のプランを考えに戻ったのだった。



