「……みんな、何やってんの」
ヒナタは、みんなの首元を見ながら苛立たしげにもらした。
「……あんたも。何してくれてんだよ」
「っ」
鋭い視線をヒナタに向けられて、葵はびくりと肩を揺らす。
「おいヒナタ」
「ちょっと黙ってて」
ヒナタはチカゼを黙らせ、葵を上から見下ろす。
「あんたのせいで、みんなネクタイもリボンもなくなってんだけど。どうしてくれんの。あんたがみんなを守ってくれるのタンスから」
「……すみま」
「『すみません』『ごめんなさい』だけでね、済んだら警察なんていらないんだって、何回言えばわかるの」
「……っ」
葵は俯くことしかできなかった。
もう、彼の目を見ることが怖かった。
「……勝手にリボン、取られてんじゃねえよ」
「え……?」
「勝手に罪増やさないでくれる? あーめんどくさ」
もしかしたら聞き間違いだったのかも。そう思っていたら、葵の手首に、ネクタイが結ばれていっていた。
「はい逮捕しまーす」
「え? ええ……!?」
左に巻き付けていたネクタイは、最終的に両手を縛り上げて、葵の腕を持ち上げた。
「ひなたくん……!?」
「あんたの罪は、みんなの将来を台無しにしたことでーす。責任を持って、オレたちをタンスから守りなさーい」
「ええー!?」
ぐいーっと引っ張られてどこかしらに連行されるのかと思ったら、すぐ止まった。ヒナタは、レンのことを見ていた。睨んでいた、と言った方が近いかもしれないけれど。
そう思うが早いか、ヒナタはレンの胸にごつんと拳を当て、そのまま再び歩き出した。
「はい。容疑者逮捕しましたー」
「えー!? ちょ、待って! ヒナタくーん……!!」
葵は、そのままどこかへ連行されてしまいましたとさ。
こ、これで世界が平和に………………なる前に、話が終わってしまうんですけどっ?!



