みんなは目を見開いて、シントを見つめている。
「でも、思い出して欲しいんだ。それを見たら、みんなはもしかしたら葵のことを殺したくなるかもしれない」
「……なるわけないんすけど」
「もしかしたらと言っただろう? ……これは、葵が一番みんなに嫌われると思ってる理由だ。葵は俺に、『絶対に隠せ』と言った。でも、『俺の判断で話すならそれは正しいだろう』とも言った。だから俺は君たちに見せるよ。葵の……日記を」
「そういえばあっちゃん、日記をずっとつけてるって言ってた……」
キサは知っていたようだ。けれど、みんなは首を傾げている。……でも、一人だけ。確実に雰囲気が変わった。
「(やっぱり彼は知っていたのか。日記の存在を)」
なら尚更、タダで見せるわけにはいかない。
「でも、それを見せるのに条件をつける。それもさっき言ったね。俺は葵を知ったから、理解してやったから、あいつを殺すなんてことはしなかったって」
「……どこまで理解したらいい」
アキラの鋭い視線に、シントは真っ直ぐ答えた。
「どうしてアキを好きなのか。みんなが持っているカードに、その答えが書いてあるんだろう? きちんとそれを解きなさい。そして葵に話を聞いてみなさい。そこまで伝えているんだ。話したくないけど、みんなにわかってもらいたいと思っているよ。だからきっと、話してくれる。そのカードのこと。……そうしたら俺に連絡しなさい。約束通り、葵の日記を見せよう」
「ただし」と、シントは続ける。
「それも全てじゃない。……でも、きっとわかるだろう。君たちなら」
申し訳なさそうに笑いながら、シントはそう言い切った。
「……シン兄? 今まで部屋にいたのは」
「ん? 俺に会えなくて寂しかった?」
「(※いいから話せという視線で睨む)」
「いや、そんな目で見ないでよ……」
小さく笑いながら、シントはみんなにも聞こえるように話す。
「葵が送ってきた日記が莫大な量だったんだ。俺はその理由が書かれていたところを抜き出していた。それに、完全には見せないよう手を加えた。だから今まで部屋に籠もってたんだ。……アキがきっと、みんなを連れてくるんじゃないかと思ってね」
「シン兄……」
ちゃんと考えてしていた行動だったんだと、自分のこともわかってくれていた兄の存在に、アキラは今までぽっかり空いていた隙間が埋まった気がした。
「そんな回りくどいことをしないと、あおいチャンはおれらに嫌われると思ってるんですか」
「茜くん……」
「別に、怒ってるわけじゃないんです。だったら尚更早くわかってあげないとって、そう思っただけなんで」
「……うん。どうかわかってやって欲しい」
シントは椅子から立ち上がり、頭を下げた。
「え。シン兄……?」
「みんな、どうか葵のこと嫌いになんてならないでやってください。葵のこと殺そうとか、そんなこと思わないでやってください。どうか葵のことを、ちゃんと理解してやってください。……よろしく、お願いします……っ」



