頭をぴりっとした痛みが襲ったのは、最初だけ。彼から来る甘い刺激のせいで、頭がぼんやりとしてくる。
それでも思い出すのは、葵から抜け落ちたあの記憶。
「んっ。は……。……トリガー、だから……」
一度離れたあと、何度も角度を変えてキスされる。
……苦しかった。息ができなくて。
愛おしかった。彼の何もかもが。
「(……う、そ……)」
思い出す記憶に、葵の頬にまた赤みが差すとともに。透明で綺麗な涙が溢れ出る。
そんな葵に困ったように笑うヒナタは、目元にキスをたくさん落とした。
「……思い出した?」
「……。……っ」
「オレのこと、惚れ直した?」
嬉しそうにそう言うヒナタに、葵は緩く首を振る。
「……ほれ。なおす。とか。……も。もっと。すきには。なった、けど……」
「――! ……あー。だめ。もう無理」
「ええ……!? んっ。はあっ。……ちょ、ひなっ……」
「今は黙って」
熱っぽい低い声を最後に。
葵は彼から与えられる愛に、しばらくの間身を任せた。



