ある日、育てていた花が、枯れました。
『ごめんなさいぃ~……』
枯れてしまった花を見て、葵は大泣きをしていた。
『……お前のせいじゃないんだ』
『そうね? あおいちゃんのせいじゃなくてこの人のせいね?』
『……はんじゃいしゃ……』
『え。ちょっと待って。めっちゃ真顔で言われたら流石に傷付くわ~……』
『そうね犯罪者。あおいちゃんの一生懸命育てた花を枯らすなんて! 重罪に処す!』
『しょす!』
『おいおい。あおいめっちゃ元気じゃん。……いやな? 確かにオレが悪かった。種を蒔く時期が遅かったんだ』
『え……』
『あのお花の種はね? もっとあったかい時期に咲くお花なの』
葵は一瞬ぽかん……とした。今は真冬だ。外にはうっすら雪が積もっている。
『……みーじゅーかーさーん!!』
『だ、だから悪かったって。……だからな? お前の育て方は一つも間違っちゃいないからな?? 気にするんじゃないぞ?』
若干ビクビクしていたミズカは、きっと前に巴投げをしたことを引き摺っているに違いない。あれは自分でもよくできたと自画自賛している。
『(得意わじゃにしようかな? あ、でもやっぱり一本じぇおいの方がかっこいいから、それからまたあみだそう!)』
すでにこんなことを考えていたりしている。今思えば末恐ろしいことこの上ない。
『だからね? またあったかくなったら、同じ種蒔いてあげましょう』
『はい! あったかくなるの待ちます!』
『でもあおい? 愛情、ちょっとはわかったんじゃないのか?』
そう聞いてくるミズカに、葵はう~んと悩む。
『かわいいな、っておもうのもあいじょう?』
『ええそうね。……何を可愛いなって思ったの?』
『ことりさん!』
『おー。そうかそうか』
『ねこさん! わんこ!』
『わ、わんこね……』
『それから、小っちゃい子! とってもかわいかった!』
『ん? ……近所に小さい子はいたっけか?』
『いいえ? 多分あおいちゃんが一番小さいはずだけど……どこで小さい子に会ったの?』
『あじゃみさんのおしゃしんで見た子が、とってもかわいかったんです!』
『……あざみさん、何してるのかしら』
『あれじゃないのか? 同年代の子が近くにいないからと思って、写真でもと思って見せてあげてるんじゃ……』
二人のアザミの見方が変わった瞬間。



