すべてはあの花のために⑦


 そう言って、アザミは写真を指差す。


『ぼう、りょく……。知ってる……。こわい人が、いっぱいいるとこ……』

『それでね? あおいちゃんに少し相談なんだ。是非、頭がいいあおいちゃんの知恵を貸して欲しい』

『……わたし、きもちわるい。です。役に、立てない……』

『ううん? そんなことないよ。……私は、君を信じている』

『……なんで、ですか? きょう、はじめて会った、のに……』

『これは私の勘だ。きっと君は、世界を平和に導いてくれる』

『……?』

『それは置いておいて。……ここの組がいつも悪さをするから、何とかしたいんだ』

『……なんとか? どこまでしたいんですか?』

『……できれば、ここの組を潰したい』


 葵は考え込む。でも、その横ではアザミが楽しそうに嗤っていた。


『……この人』

『ん?』

『この人、このおんなの人がだいすき? なんだと思うんです』

『(……まあ夫婦だからな)』

『このおんなの人、いなくなったら、きっと寂しいんじゃないかな……』

『…………(最初の標的は女か)』

『わかんないです。つぶす? まではできないかも。ぺっちゃんこには、できないですけど……』

『うん大丈夫だ。手始めに、ちょっとこの女性に声を掛けてみることにする。……ありがとうあおいちゃん』


 そう言って、アザミは葵の頭をよしよしと撫でて帰って行った。



 初めに花びらをもぎ取ったのは…………



                  ナ
                  デ
                  シ
                  コ
                  の
                  花。