帰ってきて早々、ミズカがそんなことを言ってきて、二人は目を丸くする。
『……おはな、ですか?』
『そうだ! じゃーん!!』
そう言ってミズカが取り出したのは、野菜の種に比べたら大きめの、何かの花の種だった。
『この小さな種から、大きくてとっても綺麗な花が咲くんだ』
『たねからめが出ておおきくなって、すいぶん、えいよう、お日さまのおかげで、おはながさくんですよね?』
『ええそう。……でも、この種がなんのお花なのかわかるかしら?』
『……そこまでは知りません。すみません』
謝ることなんてないのにと、二人は小さく笑う。
『あおい。この種が何の花なのか、知りたくないか?』
『知りたい。です……!』
キラキラと、目を輝かせている葵を見て、二人は嬉しそうに笑った。
『よーし! それじゃあ早速植えに行くぞ~!!』
『おー!』
『えー?!』
葵はミズカに担がれて、外の花壇へ連れてこられた。
『はい! それではまず? このあったかくて柔らかい土に植えてあげましょうっ!』
『え? えーっと。……こう?』
『あおい。そんなに奥深くまでやると芽が出ないから、大体1cmくらいの深さまでで大丈夫だ』
『……あおいちゃん。……花壇の底。見えてるからっ。………………ぷっ』
『え。……ひいのさん。わらわないで』
だって知らないんだもの。説明不十分なのが悪い。
『よし、植えたか~? その次は、毎日水をあげるんだ。外の洗い場のところにじょうろがあるから、それに水入れて持ってこーい』
『は、はーい』
葵はてくてくと、外の洗い場まで駆けて行った。
『あなた……』
『ひのちゃんもあれ、あげたんだな』
それは、決してヒイノのものではない。
葵のためにと思って買ってきたものだ。でも、あれを見るとどうしても葵を思い出すので、大切なものに変わりはない。
『ええ。……あなたも、まさか花を育てさせるなんて』
『え? だ、だめだったか……?』
『いいえ。とっても素敵だと思っただけよ』
『……ひのちゃん』
そしてラブラブなところに葵が、なみなみのじょうろを持って登場。
『み、……みじゅかさん。もって。きま、した……』
『おう! よく頑張ったな! ……だったら、この花壇のお世話をあおいに任せてみようかな』
そう言ってミズカは、さっきの種を花壇にたくさん蒔いた。
『え? ……で、できる。かな……』
『大丈夫だ! それじゃああおい? お水をやるんだ!』
そう言われた葵はじょうろを両手で抱え、ひっくり返そうとしたところで、ミズカに全力で止めに入られる。
『いやあおい! 使い方間違えてるから!』
『え? でも、お水あげればいいんですよね?』
『やり過ぎてもダメなんだ。腐ってしまうからな』
『え。……ど、どれくらい……?』



