「お前最近あれだ。マジ文章おかしいぞ。読者さんもビックリだ」
「したくてしてるわけでは……」
「しかもお前最近マジめんどくせえ」
「ええ……!?」
めちゃくちゃ嫌そうな顔に、結構ショックだったりする。
「いつもの威勢はどうしたんだよ。人のことになるとズンズンドカドカ突っかかってくるってのに、自分のことになったら途端に臆病だなお前も」
「……チカくんに言われたくない」
「だから言っただろうが、お前もって。……そんなに嫌われんの、怖えのかよ」
葵は小さくなって、こくりと頷いた。
「今、わたしはそれが一番怖い」
「……そっか」
そう言うとチカゼは何故か嬉しそうに笑う。
「好きなもん、見つかってんじゃん」
「え?」
にかっと、彼はお得意の笑顔を久し振りに見せてくれた。
「オレらのこと、大好きで仕方ないんだろ?」
「え。うん」
「え。あっさりだな」
「まあね。その通りだし」
葵は立てた膝に顎を乗せる。
「もう、大切なものは失いたくないんだ」
ぼそりと、そう呟いた葵の言葉に、チカゼは怪訝な顔をする。
「何か大切なもん、失ったのか」
そう聞いてくるチカゼに、葵は苦笑いをした。
「……多分、失ったんだ」
「は? どういうことだよ」
「ハッキリわからないんだ」
「わけわかんねえ……」
「それと」と、葵は続ける。
「失うかも、しれないんだ」
「……何をだよ」
「大切なもの。……わたしにとって、かけがえのないもの」
「……だから、なんだってんだよ」
言いたくなくて、膝に頭を埋めた。
「……はあ。わかった。聞かねえよ」
ぽんぽんと、頭を叩いてくれる手がとってもやさしかった。
「チカくん。わたしね、『チカくんが考えてる生徒会メンバーじゃない』って、そう言ったでしょう?」
「…………」
「あの時、わたしがしたいって言ったからって、そう言ったよね」
「ああ」
思い出したくないのか、少し機嫌が悪い。
「嘘をついていたわけじゃないんだけど、少し間違ってたみたい」
「はあ? それってどういう」
葵は顔を上げて、チカゼに真っ直ぐに視線を合わす。
「君が考える生徒会メンバーのわたしも、いるってこと」
「……はあ!?」



