すべてはあの花のために⑥


「あかね」

「うん」


 二人して顔を合わせたあと、互いの手を握って喜びを分かち合う。


「久し振りにあーちゃん笑ってるの見た!」

「うん! すっごい嬉しいね!」


 でもそれも、すぐに切り替わる。


「おうり。おれ、あおいちゃんに言ったんだ」

「え? 何を?」

「あおいチャンの残酷な運命のことを、おれは知ってるって」

「え!?」

「賭けだったんだけど、おれはあおいチャン自身にそう言ったから」

「さっき言ったのって……」

「うん。いざとなったら踏み込む気満々って言った」

「……おれも言おっかな~」

「でも今回のこと、これだけあおいチャン苦しんだんだよね」

「うん。もしその運命をおれらが知ってしまった時、あーちゃんはどうなっちゃうのかな……」


 二人はカードを見て呟いた。


「……『わかって欲しい』」

「ん? どうしたの、おうり?」

「さっきあーちゃんそう言ってた」

「うん。そうだね?」

「もしおれらがそのことについて知っても、ちゃんとわかってあげたら、あーちゃんは大丈夫だと思う」

「……そっか。ちゃんとか」

「あかね? 頑張ってあーちゃんわかってあげよ? それであーちゃん助けてあげよ?」

「うん。そうだね。がんばろ。おうり」


 二人は葵が去って行った扉をしばらく見つめていた。