「あかね」
「うん」
二人して顔を合わせたあと、互いの手を握って喜びを分かち合う。
「久し振りにあーちゃん笑ってるの見た!」
「うん! すっごい嬉しいね!」
でもそれも、すぐに切り替わる。
「おうり。おれ、あおいちゃんに言ったんだ」
「え? 何を?」
「あおいチャンの残酷な運命のことを、おれは知ってるって」
「え!?」
「賭けだったんだけど、おれはあおいチャン自身にそう言ったから」
「さっき言ったのって……」
「うん。いざとなったら踏み込む気満々って言った」
「……おれも言おっかな~」
「でも今回のこと、これだけあおいチャン苦しんだんだよね」
「うん。もしその運命をおれらが知ってしまった時、あーちゃんはどうなっちゃうのかな……」
二人はカードを見て呟いた。
「……『わかって欲しい』」
「ん? どうしたの、おうり?」
「さっきあーちゃんそう言ってた」
「うん。そうだね?」
「もしおれらがそのことについて知っても、ちゃんとわかってあげたら、あーちゃんは大丈夫だと思う」
「……そっか。ちゃんとか」
「あかね? 頑張ってあーちゃんわかってあげよ? それであーちゃん助けてあげよ?」
「うん。そうだね。がんばろ。おうり」
二人は葵が去って行った扉をしばらく見つめていた。



