「……葵ちゃん。助けるわ。あたしも、必ず」
アカリがそう言うと、客間の扉がそっと開いた。
「葵ちゃん。大丈夫かな……」
そこには、別のところに泊まっていたはずのサツキがいた。
「わからないわ。……でも、何かあった時、あたしは家を使うから」
「君がそれでいいなら俺は君を支えるさ」
そう言ってサツキはアカリの肩を抱き、子供たちが出て行った玄関の扉を見つめていた。
「ユズちゃん。これ、よかったら」
「わー! すっごく美味しそうだったから楽しみだったんだあー!」
「あたしからも!」
「あ。……よかった。あたしは水色じゃなくて」
葵は橙色のリボンを掛けたチョコを、キサは紺色のリボンを掛けたチョコをユズに渡した。特別返事はいらなかったんだけど、ユズは自分が持っていた橙色のリボンが付いたチョコと、あるリボンを葵の左手に巻いてくれた。
「……紺と銀……?」
「うん! ……あおいちゃん、あたしと賭けしない?」
「賭け??」
「どっちが恋に早く落ちるのか! 負けた方がデザートバイキング奢り!」
にっこり笑うユズが次の約束をしてくれて嬉しかった葵は、満面の笑みで返した。
「あは! ……じゃあ頑張って勝たなきゃ。勝負だユズちゃん!」
「…………」
「(……? 柚子? どうしたの?)」
「(やっぱりあたし、あおいちゃんならいけるわ)」
「(やめておきなさい……)」
そんな会話をしているなんて、葵は知らないけどね。



