「……父さん」
アキラはそう、シランを急かすけれど。
「秋蘭。まだちゃんとパーティーは終わってない。もどかしいのはわかるが、きちんと終わってからだ」
「…………………………わかった」
「いや、間空きすぎだから。どんだけ気になってんのよ」
「そんだけだ」
「あ。そうですよね。はい」
まあしょうがないか。こいつが彼女を好いてることは、嫌というほど知っているから。
「(今秋蘭の中では、どんなことを思っているんだろうな)」
先程までは明らかな動揺だったから表情を見ただけでわかったけれど、すでに表情を戻した息子の考えていることなんて、今はさっぱり。
「(……秋蘭。ちゃんと向き合いなさい)」
シランはぽんとアキラの背を叩いて、次の挨拶回りへと歩みを進めた。



