そうこうしていたら、あっという間に22時を回っていた。
「あ。もうこんな時間ですね」
すっかり元に戻った葵は、立ち上がって荷物を漁る。
「キサちゃん。よければ机をお借りしたいんですけどいいでしょうか」
「え? うん。全然いいけど、何するの~?」
葵は机を借りて、日記帳を取り出す。
「今日のこと、日記にしておこうと思ったので。ちょっとだけ書いていてもいいですか?」
「あっちゃんすごいね! 毎日つけてるの?」
キサが覗き込もうとするけど、葵は腕で隠す。
「恥ずかしいので、見ないでいただけると嬉しいんですが」
「そっかー。残念だけどしょうがない」
キサはそのままベッドに腰掛けた。
「あおいちゃんはいつから日記書いてるの?」
「……そうですね。かれこれ10年以上書いてるかな」
「え!? すご! それってずっと取ってたりするの?」
「え? はい。きちんと今まで書いたのは部屋にきちんと整理しておいてるんです」
「すごいね~。あっちゃん几帳面さんだー」
「いえ。そんな理由じゃありませんよ」
葵は少し苦しそうに笑ったが「それでは少しだけ一人の世界に旅立ってきます」と言って、日記を書き始めたので、キサとユズは二人で最近のモデルやアイドル歌手の評価を勝手にしてみたりした。
葵が日記を書き終えたのは、日付が変わる、少し前だった。
「あっという間だったね~」
「とっても楽しかったです!」
「またこうやって集まろうねー」
キサの部屋に布団を持ってきてみんなで雑魚寝をしていた。アカリも誘ったのだが、「すっぴん酷いから見せられない!」と、自分の部屋に帰って行ってしまった。
そのあといろいろ話をしていたはずなんだけど、いつの間にか二人は気持ちよさそうに眠ってしまっていた。
そんな可愛い二人に布団を掛け直してあげて、葵も就寝した。



