すべてはあの花のために⑥


 そう言うキサは、真剣な顔になるので、葵もユズも真面目顔になる。


「あっちゃんも、その人をきちんと全部、理解してあげなきゃ」

「わたしも、か……」

「確かにそうだね。受け身ばっかりじゃダメだからねー。攻めろとは言わないけど、それでもそこまでしてくれている人を、あおいちゃんにもわかってあげて欲しいな」


 ふわりと笑って、二人がそう言ってくる。


「あっちゃんってさ、なかなかあたしたちに教えてくれないじゃん? あっちゃんのこと」

「……うん。ごめんね」

「あおいちゃん? それ自体が別に悪いって言ってるわけじゃないんだよ?」

「そうそう。誰にだって隠し事はあるからね~」

「キサちゃんも、キク先生に隠し事してたりする……?」

「あ! 聞きたーい!!」


 葵とユズが聞くと、キサは、「隠し事したくてもあいつにはバレるのっ!」って顔を真っ赤にしてた。


「でも、あっちゃんも理解してもらおうと思ったら、それなりに相手に伝えなきゃ」

「うん。そう、なんだけど……」

「全部じゃなくていいんだよ。少しでも教えてもらえるだけで、あおいちゃんのことが知れるだけで、嬉しいと思うからさ?」


 葵は、みんなに書いたカードのことを思い出した。


「(わかってもらいたいけど、知ってもらいたくない……)」


 カードには、そんな思いがたくさん詰まってしまった。


「(そう、だよね。理解してもらおうと思うなら、自分からちゃんと伝えないと……)」


 それが今回できなかったから、みんなを怒らせてしまったんだ。


「(理解、してくれるかな……)」


 難しく書いてしまったカード。でも、それは葵が伝えることができる最大で、最難関の問題だ。


「(……きっとみんななら、わかってくれる気がする)」


 それで、アキラみたいに変わらずに接してくれる気がする。


「(アキラくんも、わたしのこときっと、わかったようでわかってないんだろうけど……)」


 アキラの手紙には、こう書いた。