そう言うキサは、真剣な顔になるので、葵もユズも真面目顔になる。
「あっちゃんも、その人をきちんと全部、理解してあげなきゃ」
「わたしも、か……」
「確かにそうだね。受け身ばっかりじゃダメだからねー。攻めろとは言わないけど、それでもそこまでしてくれている人を、あおいちゃんにもわかってあげて欲しいな」
ふわりと笑って、二人がそう言ってくる。
「あっちゃんってさ、なかなかあたしたちに教えてくれないじゃん? あっちゃんのこと」
「……うん。ごめんね」
「あおいちゃん? それ自体が別に悪いって言ってるわけじゃないんだよ?」
「そうそう。誰にだって隠し事はあるからね~」
「キサちゃんも、キク先生に隠し事してたりする……?」
「あ! 聞きたーい!!」
葵とユズが聞くと、キサは、「隠し事したくてもあいつにはバレるのっ!」って顔を真っ赤にしてた。
「でも、あっちゃんも理解してもらおうと思ったら、それなりに相手に伝えなきゃ」
「うん。そう、なんだけど……」
「全部じゃなくていいんだよ。少しでも教えてもらえるだけで、あおいちゃんのことが知れるだけで、嬉しいと思うからさ?」
葵は、みんなに書いたカードのことを思い出した。
「(わかってもらいたいけど、知ってもらいたくない……)」
カードには、そんな思いがたくさん詰まってしまった。
「(そう、だよね。理解してもらおうと思うなら、自分からちゃんと伝えないと……)」
それが今回できなかったから、みんなを怒らせてしまったんだ。
「(理解、してくれるかな……)」
難しく書いてしまったカード。でも、それは葵が伝えることができる最大で、最難関の問題だ。
「(……きっとみんななら、わかってくれる気がする)」
それで、アキラみたいに変わらずに接してくれる気がする。
「(アキラくんも、わたしのこときっと、わかったようでわかってないんだろうけど……)」
アキラの手紙には、こう書いた。



