すべてはあの花のために⑥


 こくこくと。涙を流しながら頷いている葵に、ヒナタはわからないことだらけで首を傾げる。


「それってさ、アキくんとの結婚を承諾された後? 前?」

「……? そんなこと。聞くの……?」

「うん。教えて?」

「……。あ。あと」

「そっか」

「……。いや。だったのっ……」

「……? うん。わかってるよ」

「……。満足。したのっ。……承諾。されたからっ」

「……? ちょ、よくわかんないんだけど」

「……。だから。わたしがやったのっ。最後はっ……」

「……?」

「……っ。だから最後はっ。失敗したのっ。……ありがとうっ!」


 がばっと首元に抱きつかれて 、思わず「ぐえ」となる。


「(頭いいくせに日本語ダメダメなんだけどこの人)」


 全く以てわからないけど、取り敢えず「どういたしまして」 と言っておく。


「まだいける? まだしたいんだけど」

「……。まだ……?」

「うん。聞いておきたい。今のあんた素直だから」

「……? いっつも素直じゃん。わたし、あの時の結婚のこともアキラくんのことも。嘘。ついてないもん」

「違った。今あんたが可愛いから」

「え……」

「はい。じゃあ次行くよ」

「え。え……っ?」


 軽く混乱して、「え? 聞き、間違い……?」とか言ってる葵は放っておいて。


「……迎えは?」

「え?」

「迎え、呼んでたでしょ? 何でかなって思って」

「……それは……」

「言えない?」

「……わたしが。疑われた。から……」

「疑われたの?」

「っ……」

「じゃあ、仮面着けてたのは?」

「……みんなとっ。友達じゃないって。……っ」

「日本語話すのほんと下手だね」

「ごめんなひゃい……」


『なんだこの口は。日本語ちゃんと話せやこら』的な感じで葵のほっぺたをびろ~んと伸ばす。


「なんなの。友達じゃん。違うの?」

「ひがわにゃい~……」

「疑われてるって誰に?」

「うぅぅぅ~……」

「(はいはい。家にね)」


 きっと疑われてるのも家だし、自分たちと友達じゃないんだって言いたい相手も家なんでしょうよ。
 ヒナタは葵の日本語を理解する能力がレベルアップした▼


「(それじゃあ、やっぱり迎え呼ぶの嫌だったんじゃん)」


 でも彼女は、『自分も了承したからいいんだ』的なことを言っていた。