すべてはあの花のために⑥


 やっと葵が体を起こしてくれたので、ヒナタはほっと息をつく。


「アキくんのこと、いつから好きだったの?」

「……アキラくんの、七歳の誕生日パーティー」

「そうだったね。そんなこと言ってたね」

「……でも、アキラくんは、友達として好き」

「でも、恋愛として好きだから、お父さんにお願いしたんでしょ?」

「……うん。そう」

「カナが言ってたけど、好きってわかんないんだっけ? なのに、アキくんは好きなんだ。矛盾してるね」

「……ごめんなさい」

「いいよ別に(まあみんな嫉妬で怒り狂ったけど……)」

「……答え、カードにあるから」

「え? そうなの? このこと?」


 尋ねると、葵は素直にこくんと頷いた。


「(……ってことは、オレも聞いてるってことだよね。昔話で)」


 ヒナタはあの時聞いた話を思い出す。


「……うん。わかった。ちゃんとカード見てみる」

「……知って、欲しくないなあ」

「嫌わないって」

「うん。……でも、わかって欲しいの。わかって? ひなたくん」


 切なげな声で言われると、こちらまで胸が切なく痛む。


「……うん。大丈夫。ちゃんとあんたのこと、全部わかってあげるからね」

「……うん。あり、がと」


 覗き込みながら伝えると、葵は俯きながら、でも少しだけ嬉しそうな声で答えてくれた。


「……まだいい?」

「……。うん」

「お父さんに、アキくんと結婚したいって言ったのは、いつか教えてくれる?」

「……?」


 葵は、『そんなことを聞いてどうするの?』と言いたげに首を傾げている。


「言ったでしょ? あんたが話せるところから、ちゃんとわかってあげるって」

「……えっと。パーティーの、あと……?」

「すぐ?」

「……はじめての、誕生日の日」

「誕生日プレゼントってこと?」

「あの家に引き取られたの。その、誕生日の日。……何がいいかって。そう、言われて」

「でも、家には駒としか思われてないんでしょ?」

「……わたしは、祝ってもらったこと、ない」

「……それで?」

「アキラくんと。結婚したいって。そう言ったのっ」

「……またつらそうな顔してる」


 ヒナタはぷにぷにと、ほっぺたを軽く摘まんでやる。


「アキくんと結婚したいはずなのに、何でそんな顔するんだろうって」

「えっと……」

「あの時もずっと思ってた。嫌なら嫌って言えば、すぐにでも助けてあげるのになって」

「ひなた、くん……」

「何があるの? あんたの力に、なってあげられるよ?」

「……あり、がとう」

「(……ダメ、か)」