やっと葵が体を起こしてくれたので、ヒナタはほっと息をつく。
「アキくんのこと、いつから好きだったの?」
「……アキラくんの、七歳の誕生日パーティー」
「そうだったね。そんなこと言ってたね」
「……でも、アキラくんは、友達として好き」
「でも、恋愛として好きだから、お父さんにお願いしたんでしょ?」
「……うん。そう」
「カナが言ってたけど、好きってわかんないんだっけ? なのに、アキくんは好きなんだ。矛盾してるね」
「……ごめんなさい」
「いいよ別に(まあみんな嫉妬で怒り狂ったけど……)」
「……答え、カードにあるから」
「え? そうなの? このこと?」
尋ねると、葵は素直にこくんと頷いた。
「(……ってことは、オレも聞いてるってことだよね。昔話で)」
ヒナタはあの時聞いた話を思い出す。
「……うん。わかった。ちゃんとカード見てみる」
「……知って、欲しくないなあ」
「嫌わないって」
「うん。……でも、わかって欲しいの。わかって? ひなたくん」
切なげな声で言われると、こちらまで胸が切なく痛む。
「……うん。大丈夫。ちゃんとあんたのこと、全部わかってあげるからね」
「……うん。あり、がと」
覗き込みながら伝えると、葵は俯きながら、でも少しだけ嬉しそうな声で答えてくれた。
「……まだいい?」
「……。うん」
「お父さんに、アキくんと結婚したいって言ったのは、いつか教えてくれる?」
「……?」
葵は、『そんなことを聞いてどうするの?』と言いたげに首を傾げている。
「言ったでしょ? あんたが話せるところから、ちゃんとわかってあげるって」
「……えっと。パーティーの、あと……?」
「すぐ?」
「……はじめての、誕生日の日」
「誕生日プレゼントってこと?」
「あの家に引き取られたの。その、誕生日の日。……何がいいかって。そう、言われて」
「でも、家には駒としか思われてないんでしょ?」
「……わたしは、祝ってもらったこと、ない」
「……それで?」
「アキラくんと。結婚したいって。そう言ったのっ」
「……またつらそうな顔してる」
ヒナタはぷにぷにと、ほっぺたを軽く摘まんでやる。
「アキくんと結婚したいはずなのに、何でそんな顔するんだろうって」
「えっと……」
「あの時もずっと思ってた。嫌なら嫌って言えば、すぐにでも助けてあげるのになって」
「ひなた、くん……」
「何があるの? あんたの力に、なってあげられるよ?」
「……あり、がとう」
「(……ダメ、か)」



