するとヒナタはゆっくりと起き上がり、指で数え始める。
「そ、そんなことしないでいいから……!」
バシバシと背中を頭を叩くも、一向にやめる気配なし。
「提案を変更します」
「……? はい。なんですか?」
「あんたが着てるのを洗濯して乾燥させましょう。乾くまでは申し訳ないけど下着なしで我慢してください」
「え? それってどういう……?」
「サイズがありませんでした。ごめんなさーい」
「……?! 言い損じゃん! しかもわたしそこまで大きくないから! 何で両手で数えた?!」
ぽかぽかとヒナタの背中を叩くも、当の本人はと言うと「ごめんごめん。母さん貧乳だったわ」と、全く以て悪びれる様子はなかった。
「……いいよ。今着てるのでっ」
「何。拗ねたの?」
「だって。ひ、……悪魔くんにバレたんだもん」
「悪かったって言ってるじゃん」
それでも葵は唇を尖らせて拗ねている。
「……じゃあ、今日は鍋にしようか」
「え?」
「それだったら許してくれる? 鍋パ。二人だけど」
「……! ……うんっ。わたしも手伝う!」
「いいよ、ゆっくり入って。しっかり温まってきて」
「ううん。わたしもお手伝いしたい(お友達度UP目指して!)」
「何? お友達度って」
「はっ!」
「……それじゃあ、ぐちゃぐちゃの部屋の片付けしてるよ」
「そ、……それも一緒にやる」
「大丈夫だって。あれだけぐちゃぐちゃなんだから、どう考えたって全部片付けられないでしょ」
「でも……」
ヒナタは、ぽんと葵の頭に手を乗せた。
「一人じゃ終わらないから、上がったらあんたも手伝って?」
「……うん」
「取り敢えず今は、ちゃんと温まること。いい?」
「うん……」
俯く葵に、ヒナタはクスリと笑う。
「我が儘だね」
「ご、ごめんっ……」
「……オレも、あんたに話さないといけないか」
「え……?」
「ご飯食べて片付けして。……約束、するんでしょ?」
「……うん」
「行っておいで。ちゃんと待ってるから」
「……うんっ。わかった。ありがとうひな、……悪魔くん!」
「はいはい。あとで着替え持ってくるからね」
そう言ってヒナタは脱衣所を後にした。



