すべてはあの花のために⑥


「……なあ。お前、マジでそれでやんの?」

「ん? はい。わたしはこれでいいんです」


 突っ掛かってこない辺り、少しはトウセイも冷静になったようだ。


「なら私も外そう。それならいいだろう」

「え。外すんですか? 打っ叩けないじゃないですか」

「初めから寸止めする気だったろう」


 葵は無言しか返さなかった。


「なら私もそうしようということだ」

「……なら、そうしましょう」

「え? ……え?」


 一人ツバサが置いてけぼりになっていたが、どうやら防具無しで対決するみたいです。
(※危ないので、決して真似はしないでね!?)

 審判はツバサが担当。


「さて、朝の続きをしてもらおうか」

「そうですね。勝負を引き受けてもらう代わりに言おうと思っていたのですが、もうその気満々みたいなので一つお話、しておきましょう」

「勿体振らずにさっさと話せ」

「はあー……。しょうがないですね。『わたしは、あなたが知りたがっていることを知っています』と、そう言おうとしただけなんですが」

「は? お前、一体何を言っ――……?!」


 その時、トウセイを纏う空気が変わる。まるで、切っ先が喉元に当てられたかのように、ツバサは身動きがとれない。


「さあトウセイさん。賭けをしましょうか」

「なんだ」

「もし万が一あなたが勝ったら、その知りたがっていることをお教えしましょう」

「……何故お前のような子供が知ってる。そもそも俺が知りたいことなんて何も」

「わたしが勝ったら、して欲しいことが三つあります」

「……なんだ」


 葵は指を一本ずつ立てた。


「一つ。……本当は、ツバサくんともう一度きちんとお話ししてもらおうと思ったんですが、申し訳ないことに時間がないので、わたしがツバサくんからあなたへ、あなたからツバサくんへ、思いの仲介をしたいと思います」

「はっ。何を言っているのか。意味がわからんな」

「それじゃあハッキリ言いますけど、ハルナさんのことで話したいことがわたしからあるので聞けっつっとんじゃ阿呆」


 案の定、またブチンと切れた▼


「一つ。今日はみんなで、お母様とヒナタくんの家へ行きます」

「誰が行くか、あんなところ」


 怒気が強まったことには、わざと気づかない振りをした。


「最後に、……トウセイさん。あなた、国務大臣になりなさい」