道明寺は今、確実に傾きかけている。それをどうにかするべく、両親が奮闘している状況だ。それにはきちんと『わたし』も手を貸していたし。他にも家のためになることはしてきている。
「そうする他、わたしに選択肢はないのですから」
「…………」
「トウセイさん。勝負事に賭け事はつきものです」
「……なんだ、金でもぶんどる気か」
確かに国会議員ならば、それ相当の金はお持ちだろう。
……でも、そうじゃない。
「これは、勝負を引き受けてもらう代わりに言おうと思っていたのですが……」
「……何をだ」
葵はすっと立ち上がって、リビングの扉をちらりと見る。
「それはまた、道場でお話ししましょう。ツバサくんが降りてきたみたいなので、朝ご飯の支度をしますね」
「は?」
そう思ったら、扉からツバサが現れた。
「はあ。……朝飯作るか」
「はい! トウセイさんはちょっと待っててくださいね。腹が減っては戦はできぬって言いますから。しっかり腹拵えといきましょう!」
葵はツバサとキッチンに並び、ルンルンで朝食の準備をし始めた。
「……名前はそうなっています、か……」
トウセイは、美味しい朝食が出来るまで、再び日付の古い新聞に目を通した。



