すべてはあの花のために⑥


 道明寺は今、確実に傾きかけている。それをどうにかするべく、両親が奮闘している状況だ。それにはきちんと『わたし』も手を貸していたし。他にも家のためになることはしてきている。


「そうする他、わたしに選択肢はないのですから」

「…………」

「トウセイさん。勝負事に賭け事はつきものです」

「……なんだ、金でもぶんどる気か」


 確かに国会議員ならば、それ相当の金はお持ちだろう。
 ……でも、そうじゃない。


「これは、勝負を引き受けてもらう代わりに言おうと思っていたのですが……」

「……何をだ」


 葵はすっと立ち上がって、リビングの扉をちらりと見る。


「それはまた、道場でお話ししましょう。ツバサくんが降りてきたみたいなので、朝ご飯の支度をしますね」

「は?」


 そう思ったら、扉からツバサが現れた。


「はあ。……朝飯作るか」

「はい! トウセイさんはちょっと待っててくださいね。腹が減っては戦はできぬって言いますから。しっかり腹拵えといきましょう!」


 葵はツバサとキッチンに並び、ルンルンで朝食の準備をし始めた。



「……名前はそうなっています、か……」


 トウセイは、美味しい朝食が出来るまで、再び日付の古い新聞に目を通した。