「……本当は、一番に言いたかったんだけど」
「え……?」
嘘。だって、時期はまだ……。
「俺、センター試験を課した推薦入試だったんだよ」
「……いつ、わかったんですか……?」
「自己採点したら余裕だったから。本当は1月の半ばにはわかってた」
「……とーま、さん」
二人してベッドから起き上がる。トーマは本当に嬉しそうに笑っていた。
「大学、受かったよ」
「~~……っ!! すごい!! おめでとうございます!!」
嬉しすぎてトーマに抱きついてしまいそうだったけれど、それはやめておいた。
「そこは抱きつこうよ。手広げて待ってたのに」
「いや。いいです。よかったよかった」
「あれ。感動薄くない??」
「普通に嬉しいですよ? でもトーマさんが落ちるわけないと思ってたので、……よかった。本当に……」
俯く葵の顔が嬉しそうだったので、トーマは小さく笑っていた。
「でも、どうしてわざわざこちらへ? そのリボンをしてるということは、午前中まではあちらへいらしたんですよね?」
そう言う葵に、トーマはにっこりと笑う。
「俺が受かったの、桜の大学なんだ」
「え……!?」
エスカレーター式で、小学校から高校までは進学できるが、確かに桜ヶ丘には大学もある。しかも超難関の私立大学だ。
そこに受かったって。やっぱり只者じゃない。しかも推薦って。
「はあー……」
「……?」
葵は頭を抱えた。彼が敵じゃなくて心底よかった。
「こっちで一人暮らしするから、今回は新居を探しに。授業もないし、あとは卒業式に出るぐらいだから、菊の部屋に取り敢えず住ませてもらうんだよ」
「だから学校まで来られたんですね」
「……菊のお迎えに来たんだけど、葵ちゃんいるかなーと思って連絡したらまさかのどんぴしゃ! あ。チョコ美味しかったよ。ありがとう」
にこにこ笑いながら体を揺らしているトーマに、何故かいつも以上に危機感を感じた。
「新居が決まったら、一旦あちらへ戻られるんです?」
「ううん。帰るのはもう卒業式の時だけ。あとはもうこっちにいるよ? ……いつでも会えるよ、葵ちゃん」
トーマは葵の頬に手を伸ばそうとする。
「きちんと、ナツメさんとアヤメさんと話したんですか?」
「うん。……もうだいぶ前から言ってるよ。葵ちゃんに助けてもらったあと別れてから俺はすぐ、こっちに来ようって思ってたんだから」
「……そう、ですか」
なら、もう11月に行った時にはすでに二人ともきちんと納得をして、……トーマの邪魔をしていたのか。(※愛情表現)
「学部とかって……」
「法学部」
言葉にならなかった。
え。ぴったりだよ? うん。あなたにはこれ以上ない学部だと思うよ?
「弁護士、目指そうと思って」
……うん。あなた絶対に勝つよ。負け無し弁護士で有名になるね。絶対。
葵は、本当にぴったりすぎる彼の職業に涙が出た。
「泣くほど喜んでくれるんだ……」
いえ。あなたと戦う人が可哀想だと思っただけです。弁護はされたいとは思うけど。絶対に勝てるだろうしね。



