すべてはあの花のために⑥


『あ! やっと出たー! 葵ちゃんっ』

「この電話番号は現在使われておりません。悪しからず」

『そんなこと言わないから! 切らないでよ!』

「はあ。……なん。ですか。トーマさん」

『ん? 葵ちゃんにお礼の電話』

「……? なにか。しましたっけ」

『え。そんなに俺の存在って薄い? まあ、そうだよね。前巻一言も喋らんなかったしね……』

「……もしかして、チョコの?」

『そうだよ。ありがとう。父さんも母さんも喜んでた』

「……そう。ですか。それは……っ。よかった」

『……? 葵ちゃん?』

「っ、はい。なん。ですか?」

『……泣いてるの』

「……ないて。ないです」

『流石にわかるから。何があったの』

「…………っ」

『言えない? 言いたくない?』

「……と、ま。さん……」

『っ、そんな声で呼ばないでよ。抱き締めたくなるじゃん』

「……っ。うぅ~……」

『……葵ちゃん。今何してるの?』

「なにも。してないです。ちょっと。生徒会室で。お月様。見てて……」

『……っ、そっか。……今日の、お月さま、綺麗?』

「……。よく。見えません」

『やっぱりっ、泣いてるんじゃんっ』

「違いますよ。曇ってるんです」

『いや、なんでそこだけハッキリ言えるかな……』

「……とーまさん」

『ん? ……っ、なに?』

「……きらいって。言われちゃいました」

『…………』

「ともだちとも、思ってくれないって」

『…………』

「話したくもないって。……ゆるさ。ないって……」

『…………』

「わたしにっ。きえて。ほしいって――」