『あ! やっと出たー! 葵ちゃんっ』
「この電話番号は現在使われておりません。悪しからず」
『そんなこと言わないから! 切らないでよ!』
「はあ。……なん。ですか。トーマさん」
『ん? 葵ちゃんにお礼の電話』
「……? なにか。しましたっけ」
『え。そんなに俺の存在って薄い? まあ、そうだよね。前巻一言も喋らんなかったしね……』
「……もしかして、チョコの?」
『そうだよ。ありがとう。父さんも母さんも喜んでた』
「……そう。ですか。それは……っ。よかった」
『……? 葵ちゃん?』
「っ、はい。なん。ですか?」
『……泣いてるの』
「……ないて。ないです」
『流石にわかるから。何があったの』
「…………っ」
『言えない? 言いたくない?』
「……と、ま。さん……」
『っ、そんな声で呼ばないでよ。抱き締めたくなるじゃん』
「……っ。うぅ~……」
『……葵ちゃん。今何してるの?』
「なにも。してないです。ちょっと。生徒会室で。お月様。見てて……」
『……っ、そっか。……今日の、お月さま、綺麗?』
「……。よく。見えません」
『やっぱりっ、泣いてるんじゃんっ』
「違いますよ。曇ってるんです」
『いや、なんでそこだけハッキリ言えるかな……』
「……とーまさん」
『ん? ……っ、なに?』
「……きらいって。言われちゃいました」
『…………』
「ともだちとも、思ってくれないって」
『…………』
「話したくもないって。……ゆるさ。ないって……」
『…………』
「わたしにっ。きえて。ほしいって――」



