「(……ひとりに。なれるとこっ……)」
……もう。限界だった。
「(誰にもっ。見つからない場所……っ)」
――もう。今にも涙が零れてきそうだった。
それから葵は、本当に奇跡と言えるんじゃないかと思うけど、誰にも会わずに理事長室までやってきて、コン。……コン。コンコンコンコンと慌ててノックをする。
「いや誰~? そんなにノックしなくて、も……え。葵ちゃん……? どうし」
「りじちょう。……あ、アキラくんが入ってた隠し部屋。がじでぐだざいっ……」
理事長は今から一日出張らしく、この部屋を使っていいと許可をくれた。
隠し部屋に入るなり涙が止まらなくて、理事長も慌ててティッシュを何箱も置いて行ってくれた。
でも、誰に聞かれてるかわからない。声はあげずにずっと、涙をぽろぽろ零しながら、だらだら垂れる鼻水をかみながら、今日一日、あれからずっとここにいた。
「(あー。嘘つかないとか言っておきながら、さっそく嘘、ついちゃったや……)」
時刻は18時半。一応予定では18時を目処に、会議を終える予定だったので、きっと今頃みんなはもう帰っているだろうと思い、理事長室から生徒会室の鍵を借りてそちらへと移動する。
生徒会室へ行った葵は、誰もいないのを確認したあと、改めて声を出そうとした。
「…………っ」
でも、出てくるのは涙ばかりで、言葉にすらならない。
家には連絡を入れておいた。今日は会議があるから少し遅くなると。
葵は、仮眠室のベッドの上で膝を抱え、出ない声とともにまた、涙を流した。
「……?」
すると、スマホに着信が。
葵は出なかった。でも大概しつこい。音楽が鳴り止まない。
「……はあ」
全然切る気ないんですけどと、葵は仕方なく取ることにした。



