
『だから、もしかしてこの後何かショーが始まるのかなと、少し楽しみだったりしたんですよ』

『れんく――――』
葵は立っていられなくなり、その場に座り込む。
「……っ。はっ。……。はあっ……」
頭が痛い。動悸もすごい。
もしかしたら更年期かもしれない。『〇心』買わないといけないかも……。
そんなことを考えているとは露にも思っていないだろう目の前の彼は、鋭い目で葵を見下ろしている。
「はあ。はあ。……。はっ。……っ、はあ……」
「どう? 何か思い出した?」
じりじりと、焼けるように頭が痛い。
『……はあ。やっぱり、今回はヒントなしなのかな』
「っ、い、やだ……っ」
『……【英語】?』
「……。っ、いやだあ……。っ……!」
――ガラガラッ!!
『レンくん! いたら返事、を……――っ!?』
あの時。扉を開けたそこには、確かにレンもいた。
でも、倒れているレンの横に、目の前にいる彼もいたのだ。
「……っ。な、んで」
彼がいたのは思い出せた。でも、それだけだ。
「な、んで。ここに。いたん、ですかっ」
「…………」
「なにを。したんですかっ」
「…………」
「なんでっ……?! どうして……!! なにをっ。したんですか……!」
泣きそうなのを必死に堪え、ただ見下ろしてくる彼に必死にそう問う。
思い出せないのが悔くて、葵はただ俯いて、床に突いた手を強く握り締めていた。



