すべてはあの花のために⑤


 それから二枚目も無事に作り終えた葵たちは次の体験へ。葵は只今、ガスバーナーを使ってとんぼ玉を製作中です。


「ねえ」

「え? 何? 今危ないから話しかけちゃダメだよ」

「気をつけてね。ほんとそれ、火強いから」

「う、うん。(珍しい……)」

「ちょっと触っただけで絶対に火傷するからね」

「うん。ありがとう(なんだ。心配してくれて――)」

「ほんとに危ないからね? 絶対に触ったらダメだから。ねえ。聞いてるの? ほんとにダメだからね」

「いやいや、君さっきからわたしの腕掴んで何しようとしているんだい」

「いや、ほんとに危ないから押さえててあげようかと思って。ほんと、ダメだからね? わかってる?」

「うん。すごいフリ(、、)が来てるのだけはひしひしと伝わってきてる」

「伝わってるならよかった」

「やっぱり火傷させる気満々じゃん!」

「ほら、マジで火傷するから。早く作って。交代」

「ぶうー」


 そんなこんなで終始いじられたけれど、二人とも無事にとんぼ玉ブレスレットが完成した。


「お揃いだね!」

「呪われるかもしれないから、帰ったら180℃に温めたオーブンでチンする」

「え。そ、そんなに嫌だ……?」

「冗談だし。……ほら。さっさと待ち合わせ場所行くよ」


 ほんとにさっさと歩いていくヒナタの背中を見て、葵はひしひしと思いました。君が言うと、冗談がほんとに聞こえてくるから怖いんだよう……と。



「まだみんな来てないね」

「オレらが一番早く終わったみたいだね」


 Tシャツ二枚も作ったんだけど……と、二人口を揃える。