すべてはあの花のために⑤


 そして葵たちはぐるっと首里城を見学したあと、休憩所の前に来た。


「ここで待ち合わせ?」

「おう。腹決まったか?」

「わたしは大丈夫だけど、みんなが心配――」

「あっちゃーんっ!」

「――!」

「しなくてもよさそうだな」


 いきなり後ろからキサに抱きつかれて、二人揃って地面と『こんにちは』した。


「いてて……。だ、大丈夫キサちゃん?」

「あっちゃ~ん。ごめんよお~。しんぱいしたよお~……」


 抱きついてくるキサの頭を撫でていると、その後に続いてみんなもやってきたので、「心配かけてごめんなさい」葵は深々とみんなに謝った。


「それから、昨日もめちゃくちゃ迷惑掛けたみたいで、ごめんなさい」

「それはいいんだって、さっき言っただろ」

「そうなんだけど、やっぱりわたしがやったことには変わりないと思って。謝って済む問題じゃないけど……ほんと、ごめんなさい」

「あっちゃん……」

「キサちゃん。デリカシーのないこと言ってごめんね」

「……じゃあ、今日は一緒にお風呂入ろうっ。それで許してあげる!」

「え。それで許してくれるの?」

「うん! だってみんな、あたしなんていっそ興味ないらしいから、全然問題ないし~?」


 空気がちょっとピリッとしたけど。……まあ、それは置いておいて。


「だったら今日はしっかり確かめてあげよう!」

「それは遠慮しとく。流石に恥ずかしいから」


 キサと葵は、一緒に立ち上がりながらおかしくなって笑った。


「アカネくん。いろいろ暴露したみたいでごめんね。あとカナデくん」

「いいよ。あおいチャンが元通りなら」

「なんでついでみたいに言うのっ!?」

「だってカナデくんだし?」

「俺だから?」

「カナデくんの日頃の行いが悪いよねー」

「えー……」


「ヒナタ様々も、大変申し訳ないことをしたでござるよ」

「謝る気あるの、ないの。どっち」

「あ、あれ? ち、チカくん! 彼めっちゃ怒ってるけど……?!」

「どう考えたって、お前がそんな言い方したからだろ……」


 そっかと思い直し、葵は土下座ポーズ。


「申し訳ない主! 下僕のわたしが、大変失礼なことをしてしまったそうな! どうぞ、煮るなり焼くなり好きに――ぐはっ!」

「声もうるさい視界もうるさい。世間の皆様にどん引きされてるオレの身にもなれ」

「いひゃいよお~……」


 葵は、ヒナタに横腹を蹴っ飛ばされた。