葵は、繋がっている手をくんと引っ張ってチカゼと向き合う。
「……いろいろ、言いたいことあるんだけど」
「はいすみませんごめんなさいどうかしてました。やっぱり死んでお詫びを――」
「その下りはもうやめろ」
「わ、わかった」
チカゼは、「うーん」と悩んだあと、「ま、いっか」と。指を絡ませるようにして繋ぎ直す。
「それは歩きながらってことで」
嬉しそうに笑いながら、そう言って楽しげに歩き出した。
「まずだ。結論から言うと、どうやら原因はオレにあるらしい」
「はい?」
至って真剣な顔で何を言うかと思えば。
「オレがお前に、『飲んだことないのにすれば』とか言ったからさ」
「え。でもそれって別に普通じゃ……」
「もっと言ったら、オレがお前に負けなかったことが原因だって言われた」
「(丸め込まれてる。絶対ヒナタくんだ……)」
「だから、お前は気にすんな」
「いやいや! 絶対わたしの方が悪いじゃん!」
「は? どこがだよ」
「だ、だってみんなに酷いことしたし……」
「それを、お前が故意にしたってんなら、オレらは怒ってたかもしんねえけど、明かお前普段と違ってたから。なんか、酔った感じ? みたいになったんじゃないかって話になって」
「お、お酒じゃないのに」
「変な体質の奴なんか、世の中にはごまんといるもんだ。おまけにお前は変態だし、しょうがない」
「そうか。それはしょうがない」
「そこは納得すんなよ」と、チカゼは眉尻を下げて笑っていた。



