すべてはあの花のために⑤


 それから葵たちはバスを使って、水族館や植物園がある北部の方へと足を進めていた。


「そういえばさあっちゃん。あたしすっごい気になってたことがあるんだけど」

「ん? 何? キサちゃん」


 その道中で、何を改まって聞かれるのかと思ったら。


「あっちゃん、ミスターコンの人とのキスがファーストキス?」

「――!?!?」


 い、いきなりなんかぶっ込んできたこの人!


「ねえあっちゃん、どうなの?」


 みんなには「どうなの!?」と食い付かれるし、かと思えば、ヒナタは何故かこの光景を写真に撮り始めるし。


「きっとね、みんな気になってるわけだよ」

「俺は、それがお前の初めてだとしても、塗り替える自信がある」

「えーっと、アキ? ファーストはどうすることもできないよー……?」

「ま、気にはなるところよね」

「ま、オレはお前らとは違ってこいつとやってるからな」

「おれも~」

「いやいや! それでもファーストは気になるでしょお!」

「はい。どうなんですか。お答えくださーい」


 やる気のないヒナタは、スマホをこちらへ向けてくる。
 しかもいつの間にか写真から動画に切り替わってるし。


「……そんなに気になるものなの?」


 満場一致で「なる!」と。「あたしも気になるー! 教えて教えてー」と、キサは面白がっていたけれど。


「じゃあ逆にみんなはいつなのさ。はいカナデくん」

「俺?!」

「だって、わたしだけ言うのもあれだし」

「だからって、なんで俺が最初なわけ……?」

「ユズちゃんとしたんじゃないの? キスのひとつやふたつ」

「アオイちゃん! キスは神聖なものだから! そんなに適当にしないからっ!」

「え? じゃあ一回?」

「――?!」


 普通に聞いたつもりだったけれど、何故かもじもじと落ち着きがなくなるカナデ。


「……お、俺は、ユズちゃんとは、してない」

「うっわ。嘘ばっかり」

「ほんとだって! あの頃本気でヘタレてたから! 逆に襲われかけたことはあったけど!」

「ユズちゃんって、やっぱり肉食系なんだね」

「あっちゃん、そんな言葉いつ覚えたの……」


「はっ! しまった!」と墓穴を掘ったカナデは、「ヘタレヘタレ」といじられて灰になった。