それから葵たちはバスを使って、水族館や植物園がある北部の方へと足を進めていた。
「そういえばさあっちゃん。あたしすっごい気になってたことがあるんだけど」
「ん? 何? キサちゃん」
その道中で、何を改まって聞かれるのかと思ったら。
「あっちゃん、ミスターコンの人とのキスがファーストキス?」
「――!?!?」
い、いきなりなんかぶっ込んできたこの人!
「ねえあっちゃん、どうなの?」
みんなには「どうなの!?」と食い付かれるし、かと思えば、ヒナタは何故かこの光景を写真に撮り始めるし。
「きっとね、みんな気になってるわけだよ」
「俺は、それがお前の初めてだとしても、塗り替える自信がある」
「えーっと、アキ? ファーストはどうすることもできないよー……?」
「ま、気にはなるところよね」
「ま、オレはお前らとは違ってこいつとやってるからな」
「おれも~」
「いやいや! それでもファーストは気になるでしょお!」
「はい。どうなんですか。お答えくださーい」
やる気のないヒナタは、スマホをこちらへ向けてくる。
しかもいつの間にか写真から動画に切り替わってるし。
「……そんなに気になるものなの?」
満場一致で「なる!」と。「あたしも気になるー! 教えて教えてー」と、キサは面白がっていたけれど。
「じゃあ逆にみんなはいつなのさ。はいカナデくん」
「俺?!」
「だって、わたしだけ言うのもあれだし」
「だからって、なんで俺が最初なわけ……?」
「ユズちゃんとしたんじゃないの? キスのひとつやふたつ」
「アオイちゃん! キスは神聖なものだから! そんなに適当にしないからっ!」
「え? じゃあ一回?」
「――?!」
普通に聞いたつもりだったけれど、何故かもじもじと落ち着きがなくなるカナデ。
「……お、俺は、ユズちゃんとは、してない」
「うっわ。嘘ばっかり」
「ほんとだって! あの頃本気でヘタレてたから! 逆に襲われかけたことはあったけど!」
「ユズちゃんって、やっぱり肉食系なんだね」
「あっちゃん、そんな言葉いつ覚えたの……」
「はっ! しまった!」と墓穴を掘ったカナデは、「ヘタレヘタレ」といじられて灰になった。



