葵の飛び込んだ勢いのまま、アキラは尻餅をついて床に座り込む。それでも葵は、アキラの首に抱きついて離れない。
「もうっ。ほんと、間近で見るとますますいい男! ねえねえ、甘い物好きなんだってね~。お汁粉買ってこなくってごめんねー? その代わりに、わたし。食べちゃっていいよ?」
「……は? 何、言って」
「甘くて美味しいもの。好きでしょう? だからきっと、わたしも美味しいと思うから」
「ちょっ。待て。あおっ」
「ま た な い」
「んんっ!?」
葵は、アキラの唇に噛みつくようなキスを落とす。彼の歯列をなぞり舌を絡め取り、深く深く繋がろうとする。
「……ん、はっ。……ちょ、ほんとに……」
「なに? 気持ちいい?」
「……っ!」
アキラの体の力は抜かれ、身動きが全くとれなくなっていた。そんな状態のアキラの、漏れ出る吐息でさえ奪うほど、もっともっとと、葵は絡めるように口づける。
「はあ。はあ……」
「ふふ。感じやすいんだ?」
息が切れているアキラの耳に、首筋に、鎖骨にキスを落とし、舐め回していく。
「……っ。……ほんと。やめ……」
舌が這う感覚に、どうしても体が反応する。
その様子を満足そうに葵は笑ったあと、アキラの帯を取り払う。
「――! ま、待て葵!」
「待たないって言ったでしょう? わたしが、気持ちいいこと教えてあげるから」
そして葵は、アキラにもう一度顔を寄せ、口づけをしようとした。
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