すべてはあの花のために⑤


「……あおいチャン、本当にどうしちゃったの?」

「あーちゃん、やっぱり変だよ」


 そして、逃げた場所は彼らのところ。


「あ。ウサギさん。この間はオオカミだったね」

「うん。別にその通りだけど」

「……でも、よかったね声出て。お母さんにも泣いて抱き付いて。……こういうのなんて言うんだっけ。マザコン?」

「あーちゃん。それは流石に怒るよ」

「何言ってるのウサギさん。ほんとのことじゃない」

「言っていいことと悪いことがある。おかしいってわかってるけど、それ以上なんか言うと流石のおれでもキレるよ」


 はっきりと言い切るオウリの姿をみんなも見たことがないのか、ちょっと驚いているようだった。葵も、一瞬驚いたように目を見張ったものの、次の瞬間には愉しそうににやりと笑う。


「へえ。それは楽しみだ」

「あおいチャン! もうその辺でやめ――」

「……!?」


 アカネは二人の間に入ろうとしたが、その前に葵がオウリの腕を掴んで、自分の胸に引き寄せていた。


「つらかったね。苦しかったね。わたしの胸で泣いていいんだよ?」


 どこか愉しげな声に、オウリは自力で脱出。すると案の定、葵は笑っていた。


「……そんなに、母親が大切?」

「だったら何」

「ううん。馬鹿らしいなと思っただけ」


 流石にぷっつんしたオウリが葵に掴みかかろうとしたが、それをチカゼとヒナタ、カナデと復活したツバサが取り押さえる。


「あおいチャン、ほんと。どうしちゃったの」


 アカネは心配そうに、でもこれ以上誰かの傷を増やさないように、手首を掴んで離さない。


「あ。オタクさんだ。昨日は熱烈な愛の告白とキスをどーもー」


 みんなは驚いて固まるけれど、アカネは何も言わなかった。


「……何も言わないの? つまんない」

「なんでわざとみんなに嫌われようとしてるの」


 そう言うアカネに、みんなは眉を顰める。


「……だってわたし、みんなのこと大っ嫌いだし?」


 絶対におかしいと思って、みんなは目を見開くけど「でも一人だけはダイスキー!」と、葵は彼の元へと飛び付く。


「えっ。あ、……葵?」

「ふふっ。なあに王子様?」