すべてはあの花のために⑤


「はい! 喉渇いてたヒナタくん。コーヒー飲んで、寝られなくない? 大丈夫なの?」

「そこら辺の神経は図太いから大丈夫」

「そ、そうですか。……はい。オウリくんもおまたせ~」

「ありがとうあーちゃん!」


 むぎゅーっとオウリが抱きついてきたけれど、みんなにあっという間に剥がされていた。


「アカネくんはココアが好き?」

「うん! なんかほっとするんだあ~」

「ツバサくんもレモンティー好き?」

「え? なんで?」

「だって、水着買いに行った時も飲んでたから」

「……ま、まあ普通よ、普通!」


 何故かツバサの耳が赤くなっているように見えたが、恐らくは室内灯のせいだろう。


「はい、カナデくん。キサちゃーん! おまたせ! レモネードだよー!」

「俺の扱い酷くない!?」

「ありがとんあっちゃんっ」

「はい、アキラくん」

「葵、これは頼んだものじゃな――」

「あったりまえでしょうがっ! 今何時だと思ってんの!」

「ご、ごめんなさい……」


 葵に怒られたアキラは、しゅんと二回りくらい小さくなっていた。


「はあ、はあっ。……はいチカくん」

「お、おう……(アキどんまい)」

「あっちゃんは何にしたの?」

「わたしは、チカくんに飲んだことないのにしたらって言われたから、これにしたっ!」


 葵がみんなにどや顔で見せた飲み物のパッケージには【ウコ〇の力】と書いてあった。


「いや~初めて見た飲み物だったからさ? すごいなと思ってこれにしてみたんだよー」

「チカ! アンタなんで止めなかったのよ!」

「オレが止める前にはそれ押してたんだよ……!」

「あ、あおいチャン。それは未成年が飲むものじゃないよ?」

「でもお酒とかじゃないよ?」

「いや、あっちゃん。それお酒飲んだあとに飲むもの……」

「あーちゃん、もう一本違うの買いに行こう?」

「大丈夫大丈夫! 実は炭酸も飲んだことなかったから、チカくんにもう一本おごってもらっちゃった!」

「チカちゃんえらい!」

「いや、流石に不味いと思うだろ?」


「それじゃあ早速~」と、葵は金色のパッケージの方を開け始める。


「あ、葵? 本当に飲むのか?」

「うん。何事も体験だよね~。それではっ!」

「うっわ。マジで飲んでるし……」


 みんなも、飲んだことがないのだろうか。ちょっと興味ありげに見ているけれど、カナデだけは「ああ……」と。知ってるのか、ため息をついてた。