すべてはあの花のために⑤


 葵が作ったスマホケースには、小さな色とりどりの花に、12種類のスワロフスキー。桜の押し花をひとつと、最後に……。


「(四つ葉は、見つからなかったけど)」


 クローバーを四枚、それらしくなるように並べた。
 出来た作品を早速自分のスマホに付けて、……うんっ。満足!



「あっちゃん見て見て~」

「え。……嘘。これ作ったの?」


 キサが作ったネイルは、まるで売り物のようにとても繊細で尚且つキュートに出来上がっていた。

 他のみんなもすごく綺麗に出来ていたけれど、葵が一番ビックリしたのはツバサのリングだった。


「ええ! お花が中に閉じこもってる!」


 押し花が、透明の小さなドームの中へ綺麗に収まっていたのだ。


「すごいわよね。アタシもビックリ」

「とっても綺麗! ツバサくんの長い指にもぴったりだ!」

「それはどーも」


 ツバサも出来映えに満足しているご様子。もちろんそれはみんなも一緒。
 気まずかった空気もなくなっていてよかったと、葵はほっと安堵の息を吐いた。