「お星様が、子どもを産むところを探してたの。そうしたら天の神様が、あの島がいいだろうって言って、今星の砂で有名な島の海で生むように勧めてくれたの。お星様は、その海でたくさんの子どもを産んだけど、今度は海の神様が勝手に子どもをここで産んだことを怒ったの。だから海の神様は、星の子どもたちを殺したんだよ」
悲惨な話に、ツバサは絶句していた。
「子どもたちの死骸は星の形になって、その島の浜に打ち上げられた」
「それが、星砂になったってことなのね」
「でもこの話もね? わたしは好きなんだ」
「……最後が、幸せだから?」
じっと見つめてくるツバサに、一瞬だけ視線を合わせて小さく笑う。
「その浜の女神様が可哀想に思って、天国に返してくれるの。星砂を集めて、香炉に入れてあげた。煙とともに天に昇っていく星砂たちは、産んでくれたお母さんの星のまわりで、綺麗に輝いてるんだって」
「なんであーちゃんは、こんな話ばっかりよく知ってるの」
いつの間に起きていたのか。
「……言ったでしょう? わたしが好きだからだよ」
オウリにはただ、そう答えた。
「だって幸せになれるんだから。星の砂って幸せを呼ぶんでしょう? わたしは、たとえつらいことがあったとしても、幸せが訪れると。そう思ってるよ」
その時、上演が終わった。
さっさと葵が立ち上がったから、二人はそれ以上を聞けなかった。



