すべてはあの花のために⑤


「ふふ。外しちゃったら呪われそう」

「あはは! あたしもそう思う! ……でもあっちゃん、時々暗くなっちゃう時があるからさ? そんなのも吸い取ってくれちゃって、しかも運命の相手が現れる! なんていうこのペンダントを、あっちゃんにあげたかったんだ」

「ははっ。そっかそっか。これも沖縄のお土産?」

「内緒で買っちゃった。昨日渡そうと思ってたのに、すっかりとりもち事件と事故のせいで忘れてたよ」

「ん? 事故?」

「茜との事故ちゅーのこと」

「――!?」

「でも渡せてよかった」


 そう言ってくれるキサは、心底嬉しそうにニコニコ笑っていた。


「実はそれ、自分の暗い気持ちを言葉にしてみると一番効果が高いんだって! 確かに言うとスッキリすることもあるだろうし、溜めちゃうあっちゃんにはぴったりかと思って!」

「……溜めちゃう、か……」


 そういえば、以前にも同じようなことを言われたことがある。
 あの電話以来話してないけど、その時も溜め込まずに話してくれって、そう言われたっけ。


「(溜め込み過ぎてわたしが壊れちゃったら元も子もないし。この子に頼ってみようかな……)」


 葵は、つんとハートを突く。


「そのペンダントが、きっとあっちゃんのこと守ってくれるよ」

「うん。……なんでかわかんないけど、そんな気がする」


 肌身離さず、自分の運命が変わるまでは絶対に外さないと、心に決めた。


「きっとあれだ。グイグイ来られた時に、このペンダントがいい対処を」

「いやあっちゃん。流石にそれは無理だわ」

「あ。やっぱり?」

「うん。それはあっちゃんにしか対処はできない」

「あちゃ~……」


 どうやら即効性はないみたいだった。