やっぱりこういう気持ちはよくわからないなと思っていると、「おはようあおいチャンっ」と、昨日一緒に片付けてくれたアカネがしれっと葵の横の席に座る。
「おはようアカネくん。昨日はありがとうね?」
「え? ……こちらこそ、おれと話してくれてありがとう」
「ふふっ。話さないと思ったの?」
「だってさー。あんなこと言っちゃった手前、今日はどんな顔してあおいチャンの前に出ればいいかわかんなくって」
そう言うアカネの顔に少しだけ影が差す。
「もうすでにそんなだと、勝負はわたしの勝ちだけど?」
「別にあおいチャンのこと諦めたわけじゃないし? おれはおれで、頑張るつもりだから~」
「そうかそうか!」と話していると、みんなが二人の会話を聞いて首を傾げている。
ずっととりもちと格闘していた二人は、どうして葵と茜が仲良さげにしてるのか全くわからなかったし、他の四人も『あのあと一体何が?!』って顔をしていた。
「あ、アオイちゃんとアカネくん。ヤケに仲良さげだね……?」
そう聞かれた二人は、お互いをパチパチ瞬きしながら見た後、首をこてんと傾げた。
「な、なんと言っていいのやら」
「まあまああおいチャン? あれはおれらの秘密の話だよね?」
「そ、そうだねっ。そういうことだっ! これは秘密!」
みんなは文句を言いながら尋問してきたが、二人はにっこり笑って話すことはなかった。



