その時、どこからか、声が聞こえました。
『このままでいいの?』
「このまま?」
こどもは聞き返します。
『お空のお星さまになることよ』
「とってもきれいだね」
こどもは答えます。
『あなたはとても可哀想な子ね』
「どうして?」
こどもは尋ねます。
『あなたは愛を知らないの。とっても温かいものよ』
「……あい?」
『そう。だからわたしが、あなたを助けてあげるわ』
「……ほんと?」
『ふふ。…ええ。その代わり、わたしに【お日さま】をくれるかしら』
「……おひさま?」
『あなたはとっても可愛いお花。お日さまに向かって綺麗に咲くお花。あなたが大きくなるまでに『あなた』を呼んでもらえたら、あなたに【お日さま】を返してあげるわ』
「……? よく、わからない……」
『……じゃあ、ここで生き延びて愛を知るのと、知らないままお星さまになって真っ暗な世界に行くの。あなたはどっちがいいかしら?』
こどもは悩んだ末、前者の方を答えます。
『ありがとう。もし呼んでもらえなかったらその時は、……わたしがあなたの【 】をもらうわね』
「……わかんにゃいよぅ……」
こどもはその言葉を最後に、意識がぷつりと切れました。



