「たとえ、そうだとしてもそうでないにしても。おれはあおいチャンのことが好きだから。あおいチャンが大事だから。あおいチャンのこと、たくさん知りたいから。……あおいチャンと話ができれば、おれはそれでいいんだ」
「あかねくん……」
「でも今日はここまでにする。……おれのこと、警戒しないでくれると嬉しいんだけど」
「……お友達のこと、警戒なんてできないよ」
「そっか。……そう言ってもらえるだけで安心した。今の話するの、結構賭けだったんだ。この話をしたら、おれはもうあおいチャンに会うことも、話すこともできなくなるのかもしれないって」
思った以上に安堵している自分に、苦笑が漏れる。
「それでも、おれはあおいチャンのこと信じてた。きっとあおいチャンは、おれらから離れはしないだろうって」
「……うん。大事なお友だちと、たくさん思い出作るので、今のわたしは大忙しだから」
「ははっ。そっか。……でも、もしおれとは話したくなくなったら、おれのことはもう無視していいよ。無理して欲しくないし」
「そ、そんなことするわけが」
「でもみんなとは話して? みんなとは一緒にいて? みんなとは、たくさんの思い出作って?」
「あかね、くん……」
「それぐらい。おれはたとえ、あおいチャンに嫌われたって。話してもらえなくなったって。会えなくなったって。あおいチャンのこと大好きだし、なんとしてでもあおいチャンの運命を断ち切る覚悟だってある」
「……っ。うんっ」
「だから、本当に何でもいいんだ。こんなことばっかり話したいわけじゃないし。あおいチャンと話せるだけで。会えるだけで。おれは幸せだから――」
「あかねくんっ」
言い切る前に、葵に抱き付かれた。
「あっ、あおいチャン?」
「ありがとう!」
「――!」
「ありがとう。アカネくん。そこまでして、わたしのために頑張ってくれて」
「……うん」
「でもわたしは、みんなをわたしの運命に巻き込みたくはないの」
「こんなにあおいチャンのことが好きなおれは、もう十分君に巻き込まれてると思うけど」



