すべてはあの花のために⑤


「……やっぱり、事故ちゅーか」


 二人して口元押さえて真っ赤にしてるんだからそうだろうと、キサは腕を組んで頷く。


「まあ二人もビックリしてたみたいだし、ほんとたまたまなんだからさ。……そ、そんな怖い顔しなくてもいいんじゃない?」


 キサの考察に、徐々にみんなの顔が険しくなっていく。


「俺、もう一回お風呂入ってくる」

「「俺も」」


 ツバサも男モードスイッチON。
 三人もさっと立ち上がって、自分の部屋の棟へと帰って行った。


「え? 立てるんじゃん」

「浴衣が油吸ったんじゃない?」


 淡々とそう答えるヒナタ。


「あんたはそんなピリピリしてないんだね」

「まあ事故だし。しょうがないでしょ。あいつらも別に、アカネのこととっちめに帰ったわけじゃないと思うよ」

「え? 違うの?」

「……多分、もっとあいつが危険な状態になったんじゃないかなとは思うけど」

「え。……もしかして、グイグイ攻める気ってこと?」

「恐らく」


 キサは必死に念じました。


『あっちゃん! 絶対部屋から出てこないで!』


 …………と。