すべてはあの花のために⑤


「お、おい! オレも早く剥がしてくれよ! 誰か来たらハズいんですけどっ!」

「その前にチカくん。君の部屋はどこかね」

「は? お前の隣だけど」

「よくやってくれた! 悪魔の隣とか、全然寝られそうになかったから助かった!」


 後ろで悪魔さんの殺気を感じたが、取り敢えずチカゼの救出を開始。


「……んだよ。オレが隣で嬉しいの」

「え? あーそりゃ、誰かに比べたらまだ安全かと思っ」


 葵は、さっきと同じようにチカゼの手を掴んで、自分の肩に乗せていたのだけれど。


「オレだってお前のこと寝かせねえけど」

「――?!」


 いきなりしゃがみ込んだかと思ったら、耳元で爆弾を落とされたので、つい切り突き飛ばしてしまった。


「あ、遊んでないで早く寝るぞ!」

「いや、そう意味で言ったんじゃねえんだけど」


 チカゼは完全にとりもちの上に尻餅をついてしまった!▼


「小麦粉の力すげえ!」

「でしょう! 二次災害を防ぐのにはこれが一番なんだぜいっ」


 そして、二人は小麦粉の凄さを語り合った▼

 そんな二人を見て「あの子らバカなの?」「うんバカだよ」と、キサとヒナタは話していたけれど。



 そしてようやくチカゼも剥がれました。


「よーし取れたぞチカくん! さっさとお風呂に――」

「んっ。さんきゅ、アオイ」

「――……?!」


 チカゼは小麦粉まみれの葵の頬にキスを落として、葵の隣の自分の部屋へと戻っていった。


「……何してんの」

「えっ? ヒナタく――っ、痛い! 痛い痛い……っ!」

「あらまー」


 どっから持ってきたのか、ウェットティッシュでチカゼにキスを落とされた頬を、これでもかと言うほど拭い……擦りあげられた。しかも「ついでに」と顔全面力強く拭かれたので、葵は自分の鼻や目が完全に移動したと思った。


「よし。こんなもんかな」

「ひ、ヒナタくん! わたしの鼻はどこにある?!」

「は? ここだけど」

「え」


 ヒナタがツンと突いたのは、まさかのおでこ。
 本当に動いてしまったのかと、葵は小さく蹲った。