すべてはあの花のために⑤




「――――してよ! ねえ! ねえってば!」



 オレには、ぽっかりと空いた大きな穴がある。
 今にもオレを飲み込んでしまいそうなほどの、大きな穴が。



「いっ、……」



 いっそ飲み込んでくれればいいのに。
 そうすれば、繰り返す絶望から介抱されるのに。

 何度も思った。
 何度も思っただけだった。


 できないから、物理的に消したのに。
 消したら忘れるって、思ってたのに。





『絶対! 絶対だから!』

『は? いやだよ。オレには無理』

『大丈夫! ……絶対、大丈夫だから』

『…………』





「――――くんっ!」



 …………ああーもう。
 どうして。……忘れさせてくれないの。





 また来る。
 四年に一度の、……――『オレ』である日が。