すべてはあの花のために⑤


 黙ってしまったアキラが困惑している中、葵とシランは二人して『どうせ甘いもののことでも考えてるんだろうなー』的なことを思っていたりするのだけれど。


「ではやはり、君にして正解だったようだ」

「お褒めに与り光栄で御座います」


 アザミの言葉にシランはにっこりと笑って返す。


「娘の見る目も確かだったというわけだな」

「……お父様、疑っていらしたのですか?」

「そんなことはない。娘の言うことを私が信じないわけないだろう?」

「そう言っていただけて光栄ですわ」


 当事者であるはずなのに自分一人だけわかっていないこの状況に、アキラは思わず首を捻る。


「大変申し訳ありません。どうも、私は皆様が話されていることについていけないのですが」

「ん? なんだ。皇くんは息子に話をしていなかったのか?」

「まあ、きちんと()をしてからと思っていましたので」


 その間、葵は何も言わなかった。ただずっと、微笑んでいただけ。
 それに胸騒ぎを覚えたアキラが不安げに見えたのか、アザミはふっと笑みを浮かべる。


「何。話と言っても、大したことではないさ」


 そして、アザミが口にした言葉で何もかもが崩れていく。