「アオイちゃ~ん……」と言って手を伸ばしたまま固まっているカナデと、それを呆れ顔で見つめるその他男性陣。
「カナが可哀想に思えてきたわ」
「そうだな。お前は可哀想な奴だ」
「カナほど可哀想な奴なんていないんじゃないの?」
「かなチャン元気出して?」
「大丈夫! かなちゃんの分まで、おれがあーちゃんとラブラブしてくるからねっ」
「ねえ早く帰ろうよ。恥ずかしいんだけど」
ホテルには何棟かあり、泊まる部屋は男子と女子で棟ごと分けられている。
「だがしかーしっ! 分けられていても、15階では全てそれが繋がってるのだっ!」
「え。圭撫は一体どうしたんだ」
「なんかおかしくなってるわね」
ここのホテルは、フロントがある1階と15階以外の階では他の棟に移動することができなくなっている。
「そして俺らが泊まる階は15階! そしてアオイちゃんたちの部屋も15階! これはもう、先生たちのやさしい心遣いが窺えるよね!」
「これぞ修学旅行の醍醐味でしょ!」と、カナデだけは何故かテンションが高い。
「でもかなチャン。明日も早いんだから、さっさと寝た方がいいと思うよ?」
「あーちゃんもさっき寝るとか言ってたし」
「何言ってるの二人とも! 寝込みを襲うに決まってるでしょ!」
ベシッ! ボコッ! ベキッ!
カナデは、潰れた蛙が如く地面に倒れた▼
「お前ってそんなに最低な奴だったんだな」
「カナってほんとキモい道まっしぐらだよね(カシャ)」
「え。何撮ってんのヒナくん」
「題名は『カナが踏み出したのはキモい道』にしよう」
「お願いだから消してくれるうー⁉︎」
どうやら消してはくれないみたいで、「もう家のPCに送信しました」とか言われていた。
「ぐすん。ま、まあそれはいいとしてだよ。やっぱりさ、お互いの部屋に行くのは修学旅行の一つの楽しみでもあるじゃん?」
「そうね。一応この作品『王道』進んでるみたいだし」
「俺は葵と一緒にお菓子を食べる」
「いやあきクン、今の時間帯は絶対やっちゃ駄目だからっ。あおいチャン泣くよ?」
そうこう話しているうちに、1年生組は何故か女子がいる棟の方へと進んでいっている。
「え? 三人ともなんでそっち……?」
なんだか嫌な予感がすると思ったら。
「はっ、オレらは別に修学旅行で来たわけじゃねえし?」
「今からあーちゃんと一緒にトランプでもして遊ぼうと思うよ~」
「ちなみにオレらの部屋、あいつらを間に挟むように理事長が捩り込んでくれたので。悪しからず」



