すべてはあの花のために⑤


「アオイちゃ~ん……」と言って手を伸ばしたまま固まっているカナデと、それを呆れ顔で見つめるその他男性陣。


「カナが可哀想に思えてきたわ」

「そうだな。お前は可哀想な奴だ」

「カナほど可哀想な奴なんていないんじゃないの?」

「かなチャン元気出して?」

「大丈夫! かなちゃんの分まで、おれがあーちゃんとラブラブしてくるからねっ」

「ねえ早く帰ろうよ。恥ずかしいんだけど」


 ホテルには何棟かあり、泊まる部屋は男子と女子で棟ごと分けられている。


「だがしかーしっ! 分けられていても、15階では全てそれが繋がってるのだっ!」

「え。圭撫は一体どうしたんだ」

「なんかおかしくなってるわね」


 ここのホテルは、フロントがある1階と15階以外の階では他の棟に移動することができなくなっている。


「そして俺らが泊まる階は15階! そしてアオイちゃんたちの部屋も15階! これはもう、先生たちのやさしい心遣いが窺えるよね!」


「これぞ修学旅行の醍醐味でしょ!」と、カナデだけは何故かテンションが高い。


「でもかなチャン。明日も早いんだから、さっさと寝た方がいいと思うよ?」

「あーちゃんもさっき寝るとか言ってたし」

「何言ってるの二人とも! 寝込みを襲うに決まってるでしょ!」


 ベシッ! ボコッ! ベキッ!
 カナデは、潰れた蛙が如く地面に倒れた▼



「お前ってそんなに最低な奴だったんだな」

「カナってほんとキモい道まっしぐらだよね(カシャ)」

「え。何撮ってんのヒナくん」

「題名は『カナが踏み出したのはキモい道』にしよう」

「お願いだから消してくれるうー⁉︎」


 どうやら消してはくれないみたいで、「もう家のPCに送信しました」とか言われていた。


「ぐすん。ま、まあそれはいいとしてだよ。やっぱりさ、お互いの部屋に行くのは修学旅行の一つの楽しみでもあるじゃん?」

「そうね。一応この作品『王道』進んでるみたいだし」

「俺は葵と一緒にお菓子を食べる」

「いやあきクン、今の時間帯は絶対やっちゃ駄目だからっ。あおいチャン泣くよ?」


 そうこう話しているうちに、1年生組は何故か女子がいる棟の方へと進んでいっている。


「え? 三人ともなんでそっち……?」


 なんだか嫌な予感がすると思ったら。


「はっ、オレらは別に修学旅行で来たわけじゃねえし?」

「今からあーちゃんと一緒にトランプでもして遊ぼうと思うよ~」

「ちなみにオレらの部屋、あいつらを間に挟むように理事長が捩り込んでくれたので。悪しからず」