それから二人は、今日の記念に何かを作るようだった。
「来年に向けての願い……?」
「すごく可愛いですね」
小さな小瓶に鍵を入れ、その中に願いを込めるそう。
「……鍵、か……」
葵はふと、首元で揺れるハートに触る。
「これ、作ってもいいですか?」
「はい。もちろんですよ」
目薬ほどの小さい瓶の中へ、二人は器用に鍵やストーンなどを入れていく。
「あ、あおいさん。結構パンパンですね」
「そうですね。……どうしよう。中が見えなくなっちゃった」
「おう。何個石入れたんですか?」
「八つ入れました。色違いの。それから、見えないですけど鍵も」
そうと決まったわけじゃない。
けれどみんなは、その中へ一緒に入れてもらえた気がした。
そして、メンタルを持ち直したみんなは再び尾行を開始!
「はい。あおいさん、あーん」
「い、いいですよ。自分で食べられますっ」
「でも、荷物持たせてくれないから、両手結構しんどいでしょう?」
「うぅ~……」
「はい。だから、ここから食べてくださーい」
「……も、もうちょっと下げてください」
照れくさそうな葵に満足そうに笑う彼は、自分も口を開けながら、寒い中葵にジェラートを食べさせていた。
「おいしいですか~?」
「つ、つめたい、です……」
冷たいと言いながら、顔はとても熱そうな葵に、みんなの機嫌は悪化。それでも先程のような空気になることはなく、そのまま一定の距離を保って尾行を続けた。
そして18時。二人は、並んでパレードを見ていました。
ちなみにアキラは主催側なので、悔しそうな顔をしながら途中で帰りました。
「今日は楽しかったですか?」
「はいとっても! あおいさんはどうでしたか?」
「わたしも、こういうところは来たことがなくて、新鮮で楽しかったです」
「……そっか。それはよかった」
夢の国に入るや否や、終始葵が笑顔だったのも、みんなの機嫌が悪い原因でしたが。
「楽しんでいただけて、よかったです」
「?」
「お礼とかでこういうの、どうかと思うんですけど。でも、あなたと一緒に少しでも居られて、俺はすっごく嬉しかったから」
「…………」
「あおいさん。また、俺とデートしてくれませんか。もちろんお礼はなしで」
きっと今、誰よりも緊張してるのは、彼ではなくみんな。葵の返事を、耳をそばだてて聞いていた。
「ありがとうございます。そう言ってもらえて、本当に嬉しいです」
「ほんと? だったら」
葵は荷物を抱え直し、繋いでいたアイの手を一度ぎゅっと握る。
「嬉しかったのも楽しかったもの本当です。でもわたし、こういう素敵なことは好きな人と分かち合いたいので」
そして、繋いでいた手をそっと離して、ふわりと笑いかけた。
「決して、もう会わないってことではありません。あなたは恩人ですから。デートはできませんが、よければまた、わたしとお話ししてください」
それは『あなたの気持ちには応えられません』『恋人ではなく友人としてなら会いましょう』ということ。



