すべてはあの花のために⑤


「ねえチカまだ? 早くあたしもやってよー。着いちゃうじゃん」

「お前さ、アキもツバサも異常なくらいサラッサラなわけよ! そんな髪に編み込みするとかマジオレどんだけ器用なんだよ!」

「いや知らないし。早くしてよ」

「もっと褒めてっ!」


 チカゼは頑張って編み込みを続けました。アキラは片側、ツバサはトップから先の方まで編み込んで、緩めの三つ編みに。二人ともどこぞのモデルさんのようだ。


「ほれ。ツバサ出来たぞー」

「アンタほんと、こういうのは器用よねー」

「ここでは一応オシャレ番長だ」

「え。それ死語じゃないの」

「え。マジで?」

「さあ。わかんないけど」


 そんなツバサは、中性的な服装に大きめの眼鏡をかけて、ヒナタの隣に座った。


「? お前も行かなくていいのかよ」

「何言ってんのよ。アイツら見てる方が面白いわよ」


 流石は兄弟と、チカゼは思いました。


「んで? お前はどうすんだよキサ」

「フィッシュボーンで!」

「りょーかい」


 チカゼはキサの髪を両サイドに分け、片方ずつ先まで綺麗に編み込んでいく。


「おお! 早いね!」

「お前の髪傷んでるから――ぐはっ!」

「女の子に失礼!」

「う、うるせえ」


 鳩尾に一発食らったチカゼは、取り敢えずキサの隣に座った。


「あんたも行かなくていいの?」

「オレまだ自分のできてないし」


 そう言って、ちゃちゃっとアキラとは反対側のサイドを編み込んで終了。


「それで? 行かないの?」

「お、オレもあいつら見てた方が楽し――」

「見たくないだけでしょ」

「う……っ」


 図星を言い当てられ、小さくなったチカゼを、ツバサとキサが小さく笑って見つめる。


「な、なんだよ」

「あんたも好きだねー。あっちゃん」

「ほんとよねー」

「――なっ?!」


 ツバサとキサにいじられ、チカゼは耳まで真っ赤に。


「大丈夫よチカ。翼も同じ心境だから!」

「ちょ! 何言っ」

「翼も見るのがつらかったからここにいるから仲間だ! よかったね!」


 顔を見合わせ「なんか恥ず……」と照れくさそうに視線を外す二人。その隣では、ツバサにもたれ掛かってすやすや寝息を立てている人が。『こいつはどうなんだか』と、思っている二人の横で、キサはにっこりと笑っていた。