「今日は一段と冷えますねー。寒いのは平気?」
「うーん。あんまりですかね。夏生まれなので、冬はあまり得意な方ではなくて」
「わかりますー。俺も夏生まれなので、寒い日は家から出ないことが多くて」
「でも、体動かすの好きじゃないんですか?」
「嫌いではないですけど、どちらかというとおこたでぬくぬくするのが好きですね」
「ははっ。『おこた』って女性が使うんですよ?」
「え。そうなんですか? コンテストの時といい、恥ずかしいなあ……」
クスッと笑っている葵の様子に、堪らず噛み付く三人。
「こちらグレー。どうやら対象者は仮面を着けていないようです、どうぞ」
「こちられっど! 何あおいチャン笑ってるのっ!」
「こちらイエロー! 男はデレデレのようですどうぞーっ!」
一番にサイドをチカゼに編み込みしてもらい、眼鏡を掛けたアキラ、キャップとニット帽を被ったアカネとカナデが皆に報告。
「アカネ、それは報告じゃなくてただの嫉妬です、どうぞ」
「あー! なんで名前言うのおれんじ!」
「面倒くさいからです、どうぞ」
「そこは言ってよ! おれはれっどだよ!」
「………………」
「え。え? ちょ、おれんじー!?」
三人は葵たちが乗っている車両の隣で、窓からあちらの様子を窺っている模様です、どうぞ。
「どうどう? ひーくん似合う~?」
「うん。今まさに『ポケ〇ンゲットだぜ!』って言いそうだよ」
「わーい! ありがとー!」
「え。別に褒めてないんだけど……」
乗客の女性たちから「かわいい~」と言われているキャップを被ったオウリは、さっきの三人に混じっていった。
ヒナタはというと、チカゼがツバサの編み込みをしてあげている隣で、ニット帽を深く被って座り込んでいる。
「アンタはいいの? 見に行かなくて」
「は? なんで見に行かなきゃいけないの」
「え。じゃあなんで今日来たのよ。ただでさえ人混みに行くのに」
「え。そんなの、面白そうだからに決まってるじゃん」
「……それ、デートがじゃなくて尾行がでしょ」
「当たり。流石。よくわかってるね」
「はあ」
ほんと、イイ根性してるわと思ってしまったツバサ。ヒナタはそのあと「着いたら起こしてね」と、耳にイヤホンを着けたまま寝てしまった。
「確かに朝早かったけどよ……」
「なんでアンタそんなに落ち着いてんのよ……」
「眠気が勝つから」
チカゼとツバサは、大きなため息をついたのだった。



