「……別に、追い掛けやしねえよ」
違うか。追えないんだ。
「んなのもう、『そうだ』って言ってるようなもんじゃん」
シントが前のように話せないこと。葵もシントの前では話せないこと。自分たちと仲がいいのを話せないこと。これが全部、家が関係してること。
「……これ以上近づくな、か……」
でも、ちゃんとわかっている。彼女が好きでやってるわけじゃないってことも、好きで仲良くない振りしてるわけじゃないってことも。
「ちゃんと待つよ。ギリギリまで。俺は、お前に本気で一線引かれること以上に怖いものなんて、ないんだから」
でも、お前がつらいなら。お前が苦しいなら。お前が悲しいなら。お前が、……泣くようなら。
「俺はその一線を超えてやる。たとえその時が、今の俺でも」
――それだけ、本気だから。



